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♡今日のひと言♡八木重吉


『はらへたまってゆく かなしみ』(1925) 


かなしみは しずかに たまってくる
しみじみと そして なみなみと
たまりたまってくる わたしの かなしみは
ひそかに だがつよく 透きとおって ゆく
 さいげんもなく かなしみを たべている
いずくへとても ゆくところもないゆえ
のこりなく かなしみは はらへたまってゆく

八木重吉著『秋の瞳』より~ ゴマブックス(2016)


八木重吉(1898-1927)~東京・詩人)
大正から昭和時代前期の詩人。
23才でキリスト教に入信。その後、英語教師となり、信仰と詩作に没入した。1925年に詩集「秋の瞳」を刊行、草野心平に認められたが、結核のため29才で世を去った。没後刊行の「貧しき信徒」(1928)や「定本八木重吉詩集」(1958) などにより、次第にその評価が高まった。


2024.6.28
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