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2020年8月の読んだ本など

備忘録を書いたところで満足しちゃって読んだ本の感想を書くのが後回しになっているケースが多いので、省略。

以下、読んだ本など。


読んだ本


ワンダーJAPON(1)

廃墟・産業遺産・工場・ダム・珍スポ・大仏・公園遊具など
マニアなブームを支えた伝説のサブカル誌「ワンダーJAPAN」が
名前をわずかに変え、装いを新たについに新登場!

とのことなのですが、今までワンダーJAPANのことを知らなかった。最終号が刊行されたのが2012年とのこと。自分が団地やショッピングモールあたりに興味を持つようになったのが2013年、2014年ごろなので、ちょうど被ってないことになる。
それはおいておいて、ちょっと変わったスポット等が紹介されていて、遠出ができないぶん、ずいぶんと楽しく読めた。
しかしこう、これはあくまでもここ一年ぐらいで読んだ範囲での印象の雑語りなのですが、珍スポット紹介をするときってどうにも下世話な感じになりがちな印象があるものの(かつての「VOW」的な感じというか)、「ワンダーJAPON」やここ最近の「八画文化会館」などを読むと、そういった感じがだいぶ薄れていていて対象物に向ける眼差しと語り口が徐々に変化していっている感じがあってなんだかいいなあと思う。


伴名練(編) 『日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 』
昨年刊行された『なめらかな世界と、その敵』でお馴染み伴名練が編んだアンソロジー。気合の入った序文、簡潔且つ情報量が多い各短編の著者紹介文、面白くない作品がない作品群とかなり凄い。ところどころで「この作者さんの短編集を早く出してください」と編集者に向けて《圧》をかけていて笑ってしまう(特に和田毅=草上仁の著者紹介の「私たちが今こうしている間にも刻一刻と草上仁の短篇は増え続けている。」とか)。
内容も難しすぎないものから円城塔の作品とバラエティ豊か。円城塔の作品に関しては著者紹介で編者自ら「私は理解できてません」と先んじて書くことによって読者にある程度の安心を与えてるのでこういったところもいいなと思った。
個人的には高野史緒「G線上のアリア」と新城カズマ「月を買った御婦人」が好き。大樹連司「劇画・セカイ系」は読書会で活発な議論が交わされた。
これからSF読んでみたいなという方におすすめできる良いアンソロジーでおすすめです。


玩具堂『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』
親の仕事が探偵だと口走ってしまったために相談を持ち込まれる戸村くんが、双子である山田さん達と一緒に謎を解いていくミステリーラブコメライトノベル。読書会用に読んだ。3人集まることによって駆動する「探偵」、放課後の謎解き、3人組であるが故のやや危うい関係(ふたりとひとり問題)、程よいラブコメ成分とミステリ成分と、いい感じにツボを刺激してくるのでかなり楽しかった。
席順の都合上、戸村くんは山田姉妹に両隣から挟まれているのですが、戸村くんが探偵役で山田姉妹が助手(ワトソン)役という感じの役割が決まっているわけではなく、3人の中で探偵役とワトソン役が流動的に変わっていき、それによって謎解きもどんどん進行していくというのが読んでいて気持ちが良かった。
各キャラの性格の描き方もそつがない感じでとても読みやすく、ゼロ年代頃のミステリやライトノベルを読んで青春を過ごした同世代の友人たちと「むかしはもっと気軽に異常殺人が起きたりしてたよね……」「原付きにF1みたいなエンジンを乗っけたような、ラーメン二郎のような、自意識のデカい主人公で青春を過ごしてきたからね……」などと、時代も変わったなあとしみじみ話すなどしてしまった。


読んだマンガ(抜粋)


阿部共実『潮が舞い子が舞い』
昨年1巻を読んだときはあまりぴんとこなかったのですが、ふと読み返してみたらもうすごい滲みた。通常時のごちゃごちゃした会話の応酬ももちろん好きなのですが、ときおり挿入される静かでエモーショナルなエピソードがかなりグッとくる。


トム・キング&クレイ・マン『ヒーローズ・イン・クライシス』
日夜暴力と隣り合わせのヒーローたちをケアする施設「サンクチュアリ」で起きた殺人事件を描くミステリー。トム・キングの作品はぜんぜん読んでいない(『ヴィジョン』はまだ1巻しか読んでいない)のですが、たしかに評判どおり、悪趣味だけどそれが露悪になりすぎない上手さがあった。
メンタルケアに関するストレートなメッセージ、傷ついたヒーローたちの診察ビデオログ、ヒーローにまつわる殺人事件ということなのか『ウォッチメン』のオマージュ台詞などなど、楽しめた……のですが、やっぱり真犯人がショックで、ある程度邦訳を読んでるのもあって若干もやっとした気持ちも……。
それはそれとして、随所にくすっとできるユーモアも挟まっていて、読みやすくて良く出来てるなと思った。


あとは『違国日記』6巻の3日間の時間軸をスムーズに行き来する上手さや、『君は放課後インソムニア』4巻の青春ぢから、『チェンソーマン』8巻が本当に怒涛の展開でヒェーっとなったりしてました。


遊んだゲーム

『ゴースト・オブ・ツシマ』
元寇を題材にしたオープンワールドチャンバラアクションゲーム! グワーッ!
フィールドの移動のしやすさ、剣戟アクションの爽快さなど良いところはもちろんあるのですが、基本的にメインの話もサブクエストも陰鬱な展開が多く、息抜き的な軽い話がまったくといっていいほどないので、「遊びやすいのにつらい、でもつらいのについやってしまう」という変な気持ちでずっとプレイしていた。ゲームプレイそのものは「快」なのに、話自体は暗め且つあちこちで敵対勢力の残虐さを見せられる「不快」さで微妙にストレスが溜まってしまう感じは、リブート版『ウルフェンシュタイン』に近しいものがあるかなと思う。
本ゲームのオマージュ元である黒澤作品や時代劇は『七人の侍』以外ぜんぜん見ていないのですが、こうも無常感のある話や救いのない話が多いのもオマージュだったりするのでしょうか。それはそれとして、黒澤作品や時代劇をリスペクトしたせいか、結果的にスターウォーズっぽくなっているのはなんだか面白い。
システム自体は基本的にこれまで出ている色んなゲームのいいとこ取りだけれど、ミニマップを廃止して風の流れで目的地まで誘導するシステムや、移動時の素材集めの容易さなど、とにかく移動が快適になる仕組みが洗練されていてこれはかなり良いなと思った。びゅうびゅうと吹く風に関してはただプレイヤー=仁さんを導くだけでなく、原っぱの草を揺らし、葉を舞わしたりと、舞台となるゲーム世界を生き生きとしたものとして描くことにも一役買っていて、そこも良かった。
語られるテーマ云々や細かい箇所に関して厳密に突っ込もうと思えば結構突っ込めるとは思うのですが、全体的によく出来たアクションゲームで良かったです。アップデートでマルチプレイも実装されるそうで楽しみ。



8月はだいたいそんな感じでした。


過去のぶん


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