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根室本線を巡る旅 Ⅰ

❏根室本線との遭遇

日本にこんな場所があるのか」と夢が広がるような感覚になったことを思い出す。

北海道への興味をはっきりと認識したのは16歳で、「ローカル鉄道の旅 北海道・東北編」という番組を見た時だ。

当時、鉄道が好きで深夜流れるこの番組をわざわざ録画しバイトが終わると見ていた。もともと言うか、自然が好きで「立山の自然」みたいな番組も見ていた。疲れると自然に癒しを求めるのはこの時からかもしれない。あとは「世界遺産100」とかも大好きだった。

「ローカル鉄道の旅 北海道・東北編」
NHKの深夜不定期に放送されるフィラー番組で60年代から80年代の洋楽に合わせて列車が走行する映像とその車窓を延々と流していた。


番組は全国それぞれの地域別に分けられているが、私は特に北海道・東北編を好んでよく見ていた。

道内では宗谷線、富良野線、石勝線、根室本線、日高本線が登場する。
牧場の横を列車が走る映像が流れたりするわけだが、その中でも根室本線の前面展望(先頭車両から前面を映す)の映像にどこか異国めいたものを感じ、「日本にこんな場所があるのか」と夢が広がるような感覚になったことを思い出す。
右も左も建物は何もなく、前に進んでも進んでも変わらない景色のなかで、線路脇の雑草をなびかせながらひたすら鉄路を進む姿は、まさにそこが日本の辺境であることを感じさせた。

根室本線の映像には別カットでキハ283系特急スーパーおおぞらが大きくカーブをし広大な大地を走行する映像がある。

※こちらは未訪問のためフリー素材です
(撮影 中村昌寛さん お借りします)

大好きなシーン。
これがどこで撮られているのか気になって映像から読み取れる地形からグーグルマップをみて、どこで撮られているものか推測したりしていた。今はなき尺別駅からー音別駅間の「尺別(音別)の丘」と呼ばれるお立ち台(撮影ポイント)と思われた。
いつかここに行きたい。

繰り返し観ているうちに音楽にも興味が出てくる。
この根室本線の場面で使われている曲がlittle river band のReminiscing という楽曲だ。

今は番組について検索をかければ、ウィキペディアに曲についての情報も載せられているが、当時は見つからず、かと言って聞き取ることもできなかった。
たまたま近くにいた洋楽に詳しい帰国生の友達に何の曲か教えてもらう。
北海道、東北編ではスティービーワンダー、オリビアニュートンジョン、ビー・ジーズなどが使われていて、この年代のソウルやディスコの音楽を聴き始めるきっかけとなった。(後に音楽を聴きながら鈍行列車を乗り継ぐ「乗り鉄」「鉄女」になる。)

little river band のReminiscing
和訳では「追憶の甘い日々」という題名になり、この曲はプロポーズをした時のことを思い出している歌だ。

とってもロマンチックな楽曲なのである。

今回この文章を書くにあたって改めて聴き直してみた。絶対にこの路線に乗るぞ…と思ったこと、こんな良い音楽はみんなは知らないだろうし理解されないだろう、と謎の優越感に浸っていた高校時代を思い出した。
あの頃、時間が過ぎるのが遅く毎日が退屈だった。

音楽はその時の気持ちを思い出させてくれる。

続く

ローカル鉄道の旅
北海道東北編で使用される楽曲
宗谷線  Sir Duke
富良野線 Those Good Old Dreams
石勝線 上に同じ
根室本線 Reminiscing
日高本線 Have You Never Been Mellow
五能線 Mrs. Robinson
花輪線 上に同じ
釜石線 Boogie Oogie Oogie
仙山線 Have You Ever Seen the Rain?
米坂線 Stayin' Alive
会津鉄道 Band on the Run
…wikipediaより抜粋

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