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おもしろいをつくる発想法を考えてみる。

おもしろいってどうやってつくるんデスカ?

広告会社のプランナーとしてTVCMやWEBムービーを企画しているとき、毎度必ずと言っていいほど頭に浮かぶ疑問があります。
それは「おもしろいってどうやってつくるんデスカ?」というもの。

何時間もかけてようやく「これだ!」と思えるwhat to sayを絞り出し、「楽しいコンテづくりの時間だ!」とコンテのテンプレートを作るのですが、テンションが高いのはそこまで。いざhow to sayを考え出すと思い浮かぶのはどこかで見たようなことがあるベタな展開のものか、あるいはwhat to sayから発想が飛躍しすぎた所謂ヨクワカラナイ企画。コンテを書き上げた翌日見返してみるとなおさら平凡に見えてきて、その後もがむしゃらに考えてはみるものの、残念、企画できず。what to sayが他のメンバーが考えたものであれば「そもそもこのwhat to sayがビミョーなんじゃね?」と自分の実力不足を責任転嫁してみちゃったりなんかして…

そしていつも行き着くのが
「おもしろいってどうやってつくるんデスカ?」
という疑問。

稀に、頭の中にあった要素と要素がうまいこと絡み合い「イイ感じの企画」が生まれることはあります。でも、そんながむしゃらなやり方ではひらめきまでにあまりに膨大な時間がかかるし、コンスタントに面白い企画を生み出すことはほぼ不可能…ということに最近ようやく気が付きました。そして、プランナーも4年目にして「おもしろいをつくる発想法を体系化しよう。」と思い立ったのです。

ということで、今回、「おもしろいをつくる発想法」を体系化する第1歩を踏み出そうと思います。具体的に何をするかと言うと、世の中の面白いコンテンツを分析し、法則性を見つけ、自分が企画を考えるときに使えるようフォーマット化していきます。ただ、実際にその発想法を用いて企画を考えたわけではなく、「この発想法、面白いアイデア浮かびそう!」という仮説も仮説の段階なので、この記事を読んでくださる方は、決して最後まで疑いの目を捨てぬようお願いいたします。

企画の中心に「○○な人」を設定する

前置きが長くなりましたが、今回の発想法(仮説)はズバリ、企画の中心に「○○な人」を設定する、というものです。具体的にどういったものかというとズバリ、ジャルジャルさんのコントの発想法、そのままです。ジャルジャルさんは自身のYouTubeチャンネル「ジャルジャルタワー JARUJARU TOWER」にてほぼ毎日1本のペースでネタを投稿していますが、ネタのタイトルは「タヌキに励まされる奴」「友達なりたてのくせに、家呼んで、フグ振る舞う奴」のように「○○な奴」と統一されており、「○○な奴」を中心にストーリーが展開していきます。当然、その「○○」の部分を面白くするのが難しいわけなのですが、やることとしては人物設定を考えるという点に絞られるため、なんの指針も無く面白いことを考えるよりは幾分スムーズに発想できそうです。「友達なりたてのくせに、家呼んで、フグ振る舞う奴」のように、聞いただけで想像が膨らみ笑えてしまう強いキャラを設定してしまえば、あとはそのキャラを活かすストーリー展開を考えていけば面白さは担保できるのではないでしょうか。

「○○」の部分を面白くするコツの1つとしては、「△△なのに□□な人」という考え方があるのではないかと思います。

こちらはジャルジャルさんの代表的なネタの1つである「角刈りのくせにクラスのメインになろうとする奴」。だいぶ偏見に満ちたネタではありますが、「角刈り」と「クラスのメイン」という違和感のある組み合わせによって強いキャラ設定をつくっています。名作CMで言うと「子どもなのに店長」「犬なのにお父さん」「力士なのに子どもボイス」などがありますね。このように「なのに」という言葉で単語を繋げば、意外性や違和感のある面白いキャラ設定が生まれやすいがします。

CM企画に使える「○○な人」とは

いい感じの「○○な人」を考えられれば面白い企画に近づける、と言いましたが、「○○な人」と言っても「面白い企画が思いつかない人」といった超平凡な設定から「一国の軍事力と匹敵する武力を持つ人」というハチャメチャな設定まで、無限の設定が考えられます。(先ほど「キャラ設定を考えるだけでいいんです!」と述べましたが、全然絞られていませんでしたね。)

では、ことCMにおいて、面白い企画につながるキャラ設定とはどういったものなのでしょうか。(ここから先は、これまでにも増して私の個人的な見解が強めですので、より一層疑いの目を持ってお読みください!)

まず一つは「子どもなのに店長」「犬なのにお父さん」「一国の軍事力と匹敵する武力を持つ人」のように、絶対にありえないハチャメチャなレベルにまで振り切ったキャラ設定だと思います。ここまで存在自体が新しく面白いキャラをつくれれば、もはや企画は半分できたと言っても良いのではないでしょうか。懸念点としては、キャラ設定がハチャメチャになりすぎて商品が置いてけぼりの「ヨクワカラナイ企画」になりそうだということと、予算的な実現可能性くらいですかね。

そしてもう一つの面白い企画につながりそうなキャラ設定が「ちょうどいい架空」のキャラ設定。もう少し詳しく言うと「理論的にはいてもおかしくないけど、現実にはいないであろう架空の人物」です。再びジャルジャルさんのネタからですが、例えば「台車をスケボー代わりにする奴」「ヒッチハイクするような性格ではない奴」「人手足りてるのに、バイト募集する奴」のように、完全に存在を否定することはできないけどおそらくどこを探してもいない人、というラインで考えていくと他の人が考えたことが無いような独自の面白い設定が思い浮かびそうです。

ジャルジャルさんに比べると少し現実にいる人に寄ってはいますが、Twitterで存在しない人を募集している「存在しない人bot」も近いラインかもしれません。

あくまで私の経験ですが、ハチャメチャなレベルにまで振り切ったキャラ設定を考えようとすると、商品との関連付けが難しくなったり、子どもっぽい設定になってしまったりする傾向にあり、個人的には「ちょうどいい架空の○○な人」を考えるほうが商品との関連付けがしやすく、独自性のある面白い企画につながる気がします。


今回の話をまとめると次のようになります。

おもしろいをつくる発想法の1つとして「○○な人」というキャラ設定から作ってみるというものがある。おもしろいキャラ設定をつくるコツの1つが「△△なのに□□な人」という考え方。そして、ことCMにおいて、面白い企画につながりそうなのは「ハチャメチャなレベルにまで振り切ったキャラ設定」と「ちょうどいい架空の○○な人」というラインである。

キャラ設定はあくまでCMを構成する要素の1つですし、タイポグラフィーのようにそもそも人物が登場しないクリエーティブもあるため、この発想法は無数にあるうちの1つに過ぎず正しいのかも怪しい所ですが、「おもしろいをつくる発想法の体系化」の第一歩として、明日から実践してみようと思います。

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