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茶道具

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2022年12月の記事一覧

茶杓作り

今では手先の器用な方は、気軽に茶杓を削られます。茶道団体などでも、講師を招き茶杓作りをしています。

井口宗匠「14代家元弟君」の著書に、興味深い一文がありました。
裏千家では円能斎(13代)時代迄、自分で茶杓を削るにはお家元の許可が必要でした。

「茶杓を削るには、その形を家元へ届け許可を貰わねばならない」と円能斎は、仰せだった。更には玄々斎(11代)が業躰に与えた「茶杓的伝」の中で、特に念を押

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新年に向けて

新年に向けて

もう何年になるでしょうか?
正月三日に訪ねて来る、茶友がいます。干支をどこに出すかが、腕の見せ所です。

一般には香合に使う方が、多い事でしょう。上級者の私は、そんなミエ・ミエ・中尾ミエなやり方はしません。
「えっこんな所に!」驚き笑って頂ける場面に、干支を登場させたいのです。

兎は愛される動物なので、沢山の茶道具にその文様があります。
逆に難しいかも?
ですから兎の姿を、出さない取り合わせも・

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曜変天目茶碗

ある美術館で茶碗を見ていると「坊や
熱心だね」初老の紳士から声を掛けられました。
まだ16歳だった私に、天目の魅力が
理解できる筈はありません。ただ有名な茶碗と言うので、見ていただけでした。

「この模様は固有の色じゃないんだよ。構造色と言って、上釉の表面に
有る凸凹に光が差し込んで光る」と
教えてくれました。
「僕は理系なんで、こんな分析を
してしまうんだ。お茶の人は、どうだろうね」
(まだお茶

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茶の湯稽古場から 年送り

いよいよ本年の稽古も、最後の週と
なりました。
寄付  歳月不待人
床   短歌短冊 吉井 勇
寂しければ大徳寺にもゆきて見つ
時ならぬ雪降るかまにまに
花   藪椿・藤の実
花入  唐津 旅枕
香合  山門瓦写し

思いきって、一行を待合に!
大好きな歌人 吉井勇の作品を
本席にー
「かにかくに」の祇園の歌で、知られる
情熱的・耽美的・作風の人です。

花入は、一年の旅の終わりを。
香合に、大徳

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茶の湯稽古日誌 解説

茶の湯稽古日誌 解説

寄付の扇は、60歳の祝いに茶友から
恵贈された品。掛け物は、今まで他の方々へのお祝いに使って来ました。
ついに自分の番です。

花の水仙は、格別に好きな花。
蝋梅を添えました。花入れは、百貨店
美術部に勤務時代の購入品。
赤楽香合は24歳・御本は36歳・
蓋置は48歳と、それぞれ当たり干支の
年に買った思い出深い道具です。

薄茶器の松・替え茶碗の竹・誂えた菓子の梅・で三友が揃いました。
また菓子

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茶の湯稽古日誌

15日は72回目の誕生日です。
六度干支が、回って来ました!
寄付 扇面 好日
床  茶是長寿友
花  蝋梅 水仙
花入 土器写し
香合 赤楽 張子虎
釜  雪輪文 笠
炉縁 真塗 高台寺
棚  大宗匠好 寿扇
水指 染付 芋頭
薄茶器 老松蒔絵 平
茶杓  愚作(年男)
茶碗  御本
 替  仁清写 竹
 蓋置 夜学
 建水 インド 亀甲文
菓子  早梅 
 器  志野 鶴の絵
解説は明日、お楽

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一言

京都の光悦会と並ぶ、東京の大師会。
ある年会場入口で、高名な御数寄者と
出会いました。

「おや大川君、相変わらず熱心だね。
今日は私と一緒に、どうかな?」
お声掛け頂きました。
これ程の方のお供となれば・・
ともかく緊張しました。

寄り付きの掛け物を指し「ほら君の
好きな歌切れ、読んでごらん」
背中に汗をかきました。幸いお得意
新古今和歌集で、恥をかかずに!
お菓子や器にも目を留められ「随分

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