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茶道具

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2021年10月の記事一覧

茶道具百話 贋物

ある年の晩秋、若い数寄者との触れ込みの方から

お招きを頂きました。先様は茶友の知人で、私の

道具好きを知ってのお招きとか・・・

寄付きに通ると、床の間一杯の箱書きが飾られて

居ました。同行の友人はこちらに{目配せ}します。

私も静かに頷き床前を立ちました。

私が用足しに立つと、彼もついて来ました。「どう

見ますか?あの箱書きを」{全部駄目、本席に入るのが

恐ろしい様!}小声で会話し

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茶道具百話 出雲

{十月だから、出雲の茶碗を出している}と

茶友に話すと「あ~権兵衛さんの伊羅保ね」

即答されました。{いいえ出雲には沢山窯場が

有るので、そちらの品}「えっ長岡さん以外に、

御茶に使える焼き物が有るの!?」ひどく驚いて

いました。

楽山焼きばかり有名ですが、布志名・袖師・出西・

萬祥山・なども、有るんです。やや民芸調の焼き物が

多いので、注目されません。が布志名{雲善}の大根の

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稽古の茶道具 赤楽

稽古の茶道具 赤楽

お気に入りの赤楽茶碗を出しました。

四国・高松・玉藻焼きです。この窯場は

武者小路千家愈好斎が昭和24年に命名されました。

高松城主松平家との所縁からでしょう。

この作者は「幕釉」がお得意です。白い釉薬を

今頃なら霧・冬は氷雨かみぞれ・春は勿論霞・夏は

もや・と色々に見立てられます。

赤楽に幕釉は京都の小川長楽氏も有名ですが、気軽に

稽古用とは行かない値段です・・・

この玉藻さん

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茶道具百話 入

茶道具百話 入

原則として私は、入{傷}のある茶道具は

使いません。しかし十月の名残の時のみ、

萩焼の茶碗を出して来ます。

一碗は入に気づかず購入・もう一つは購入後

自宅で落とした品です。

一碗目は箱書きと銘に魅かれて買いました。

自宅でお湯を入れたら、何とハッキリした入が

現われました。信頼していた道具屋だったので、

残念でした。おそらく目視だけで、水を入れて迄

確認しなかったのでしょう。

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茶の湯稽古場から 薄茶器

茶の湯稽古場から 薄茶器

稽古で「大津袋・包みふくさ」いづれも真塗の

中棗を濃茶に使う、を致しました。

そこで薄茶器に、名残の月でもあり侘びた{妙心寺

古材の平棗}{鉋目秋草蒔絵棗}を出しました。

所がお弟子さん達は、それに喰いついてくれません。

{どうしてこの薄茶器か、解る人いてはる?}嫌味

たらしく聞きました。答えが返って来ません。

{濃茶の器に、真塗の棗を使ってでしょ。それとダブ

ら無い様に組み合わせ

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茶道具百話 伊羅保

高麗の釘彫伊羅保を買いました。20代半ばの頃です。

渋谷・道玄坂に在った、古道具屋さん。茶道具専門では

ありませんでしたが、良い物が並んでいました。

お気に入りの一碗で、京都へ勉強に行く時も荷物に

入れました。

ある日稽古場に道具に詳しい「K業躰先生」が座られました。

先生のお呈茶にこれを使おうと、急いで寮に戻りました。

{先生この伊羅保いかがでしょうか?}お尋ねすると言下に

「こ

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茶道具余話 二度買い

茶道具余話 二度買い

いくつかの茶碗を、二度買いしています。

若い頃「これは良い茶碗」と思って購入した品が、

年と共に勉強が進むと・・・

その茶碗に不満を抱いてしまいます。ほぼこの

パターンで、若い頃の方が良いのは数える程です。

この画像の「柿の蔕」は、二度買いの代表です。

若い頃出会った茶碗は形こそ、お約束の通りですが

色がどうもね~

それが10年前ヤフオクに、木箱無しの茶碗が二つ

出ました。最初の

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茶道具百話 伝来!?

小習事の稽古「かざりもの」をしました。

その道具に関する主客の問答で「益田家伝来」

と答えた人が居ました。

{伝来と言うのは、古いお家柄・何代も続いた御家・

に伝わった品でしょう。益田鈍翁は一代で道具を集めた

のだから、伝来じゃないやね~。東京では五島・根津・

畠山さんなど、美術館をつくられたお家もね。

財閥でも三井・住友・鴻池さんなら伝来でしょうが、

三菱さんはね?}

「じゃそ

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茶道余話 モダン

茶道余話 モダン

画像の二点、天下の伊勢丹で購入しました。

このデパートの食器・日用品売り場では、良く小さな

催しをやっています。そこで買ったのが、この二品です。

茶碗に見立てた器は、まだ先月に買ったばかり!

釉薬の掛け方・色目・高台・が魅力的で、一目ぼれしました。

薄茶器にしたのは、胴・蓋・摘み・と三種類の木材を使用。

何とも形容しがたい丸味に、魅かれました。

世間では「ファッションの伊勢丹」と思わ

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