与えるよりも多く奪わないように

みんな繊細
欲に塗れている
エゴとレッテルで顔が見えない
お金が無いと生きていけない
愛が無いと優しくなれない

等身大だったはずの身体は
お金と欲と愛で満たされたくて
飢えと渇きでどんどん膨らむ

なりふり構わず回した両手は
周りの金も私の欲も奪っていく
誇らしげに奪い取った愛情は
まるで誰かを閉じ込める鳥籠のよう

いつでもどこでも奪い合う
いつでもどこでも求め合う

そんなつもりじゃ無かったの
悪気なんて無かったの
全部水に流してくれって言われても
もう涙は流れたんだ
流れた涙は戻らない
貴方も貴女も奪って満足して去ってゆく

奪われ朽ちた身体を眺めた
思った以上に透明で
遠い先まで広がっていた

今までのはなんだったんだろう
奪い合っていたものがとても陳腐に思えて
求めてくる人に簡単に与えられるようになった

これが優しさなのか
慈愛なのかはわからない
敵意はなくただ透明で
表も裏もないただの私で

与えてあげたいなんてなくて
よくしてあげたいなんてこともなくて
無欲や無気力と言われれば否定もしないけど

奪われる前に与えようと思った
私に出来るのはここまでだよ，と告げるように
それ以上を奪いに来ても何もないよ，と言えるように

そうしたらきっと
そうすればいつか
あなたも私に与えてくれるかな？
ささやかな願いは届くかな？

不安はいつも尽きないけれど
鬱はいつもまとわりつくけど

おそれないで

あなたならやれる
今までやってきたんじゃない
今度も大丈夫だよ
あなたなら大丈夫