見出し画像

旅戯曲モロッコ編🇲🇦山奥にパスポートを置き忘れた話#2

モロッコでパスポートを無くしたわたしは翌日、
1本の電話を待っていた。

あれだけ大騒ぎして探したパスポートはあっさり見つかった。
マラケシュに来る前に宿泊していたシェフシャウエンの宿に
置き忘れてしまっていたのだ。
双方の宿のスタッフが電話で話し合った結果、
私のパスポートはマラケシュ行きのバスの運転手に託された。

バスがマラケシュに着いたら連絡が入るはずなのに、遅すぎる。
夕方頃には連絡があると言われていたはず。
なのに時刻はもう23時をまわっている。
何かトラブルがあったのかな。

シェフシャウエンの宿に電話をかけると、聞き覚えのある声がした。
シェフシャウエンの宿で少し話したスタッフの声だった。

「はるか聞いてー!
俺実は本業は学生なんだよ。このホテルはバイトなんだよ。
でさ、今朝は5時に起きて学校に行く前に
はるかのパスポートを持ってバス乗り場まで行ったんだよ。
朝の5時だよ5時!俺すごくね?!
でもバスのドライバーにこんな大事なもの預れないって言われたんだ。
200ディルハムあげるからお願い!って言ってもだめだった。
だからこっちに取りにに来てくれないかな?
大丈夫。部屋は用意しておくし、1人で寂しかったら一緒に寝てあげるよ♡」

どストレートな馴れ馴れしさに思わず吹き出してしまった。
日帰りは難しい距離なので、1日かけてパスポートを取りに行って、
また1日かけてマラケシュに帰ってくることになる。
残念ながら宿泊は避けられない。
でもこいつと寝るのはなんとしてでも避けたい…!


「…ねーだから明日は一緒に寝ようね♡」


延々と繰り返される添い寝のオファーにひたすらNoと言い続けながら
大好きな青い街並みを思い浮かべた。

「モロッコは世界3大ウザい国の1つだよ。気をつけてね。
ウザいけど、でもなんか憎めないんだよね」当時旅好きな周りの人たちから言われた言葉の意味を
この日わたしは身をもって理解した。


ところで。
今日中にパスポートが戻ってくると思って
明日からサハラ砂漠ツアーを予約しているんだけど、
パスポートがなくても参加できるのかしら・・・。


つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?