幼なじみという呪い。③【好きでしかない】
※実体験を元にしたフィクションです。元ネタはこちら
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彼のいない学校
中学2年の終わりに、私が大好きだったヤマピーは転校した。小学1年から中学1年まで同じクラスでずっと隣にいたヤマピー、2年生で違うクラスになって疎遠になっていってすれ違っていって…転校することも直接は聞けず、お別れも言えないまま会えなくなった。その時は自分がヤマピーを好きだなんて知らなかったから、特に変わらない学校生活が始まるんだろうなと思って中学3年の始業式を迎えた。
2年生の時にはクラスが変わっても、全校集会でいつも隣にいたヤマピー。3年の始業式も、いつものように体育館で全校集会がある。
あれ?
いない。。。
隣に、いつもいるはずの
ヤマピーがいない
クラス替えも当然あるし、2年生の時と同じわけはないんだけど、もちろんそうなんだけど。でもそこでやっと喪失感に気づいた。全校集会の時だけじゃない、学校のどこを見てもいない。探してもいない。放課後、部活動の時のグラウンドにもいない。あれ?なんかおかしいな
次の全校集会の時に、ハッキリ決めた。
ヤマピーのいない学校なんて行ってもつまんないからもう行くのやめよ
じわじわと実感する気持ち
ヤマピーがいない学校はつまんない、そこがハッキリ言語化できてやっと彼のことを好きな気持ちに気づいてきた。2年の終わりになにも言えなかったことをよくよく考えればわかったはずなのに、その時は子供だからわからなかったのかなぁ。その辺は当時の自分に聞いてみないとちょっとわかんないな。
当時も頑張って思い返して考えてた。
もしかして、私にとってすごく大事な人だったのかな?待てよ待てよ、2年生の時はもしかして好きだったのかな?初めて違うクラスになって寂しかったもんね。私も生徒会入りたいって思ったくらいだもんね。待てよ、もしかして1年生の時も好きだったのかな?会ってお喋りするの楽しみで学校行ってたところあるもんな。あれ?小学生の時ももしかして好きだったのでは?え、いつからだろ.......
もしかして、ずっと好きだったのかな
このまんま会えないのつらすぎじゃん?ヤバくない?
助けてくれた人たち
3年生の1学期はほんとに数回しか学校に行っていない。2学期から、心配して声を掛けてくれた先生のおかげで保健室登校するようになった。ヤマピーのいない学校に行くのは意味がなかったけど進路も考えなきゃいけない時期だったし。私は、なぜかいつも保健室にいる謎の女子になった。
保健室はサボりたいやつらの溜まり場で、大体訪れるメンツが決まってた。その中にいつも私に連絡事項を渡してくれる男子がいて、少しずつ少しずつ話をするようになって心を開いていって。ついにその人にヤマピーの話をすることができたのです。
私になにも言わずに転校してったんだよ!
どこに行ったかも知らないし連絡取ることもできないし。。。
知ってる人いると思うから聞いてみるよ。って言ってくれて、トントン拍子に話が進んで電話番号を教えてくれて、電話なんていきなりできないよ~!って言ったら「じゃあ俺が先に電話して伝えとくから」って、そこまでしてもらっちゃって。そこまでしてくれたからもう電話かけるしかなくなっちゃって、この時がなければほんとにヤマピーとは一生会えないまんまだったかもしれないな。
人生で一番の勇気
電話番号を聞くということは、連絡取りたいということは、それをヤマピーが知るということはつまり私がヤマピー好きってことが本人に伝わるわけで…なんて考えてる暇もなかった。電話かける直前まで色んな感情が渦巻いて死にたくなりそうになってすごく汗かいてて、もうやるしかない!って、告白する勢いで電話したのです。たぶんこの時の勇気はこれまでの人生で一番。
当時はLINEがないどころかスマホがないどころかケータイすらなくて、私は家電から家電へかけることに。既に同級生が事情を話してくれてたので電話口に出たのはヤマピー。なにを話したのか詳しくは覚えてない。久しぶり、とか、どこに住んでるの?とか、最近どうしてる?とか、当たり障りのない普通の旧友との会話だったように思う。とにかくヤマピーと今後の繋がりが欲しいと考えた私は住所を聞くことにした。メールアドレスという概念もない時代、遠方の友人とのやり取りは手紙を使うことが普通だったからだ。
この時から携帯電話を持つまで、ヤマピーとは文通のように手紙でやり取りするようになった。数ヶ月に1回程度の手紙だったけど、それは今のLINEの返信とは比べ物にならず「贈り物」という感じがした。今でも、届いた手紙は実家に全て保管してある。
次回はついに、初めての再会を果たします。もうガキじゃない2人が再会するとどうなるのか。エモ回です、お楽しみに。
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