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幼なじみという呪い。②【はじまり】

※実体験を元にしたフィクションです。元ネタはこちら


全てのはじまり

私にはずっと忘れられない一番好きな人がいて、それは幼なじみのヤマピー。小学1年から中学2年まで同じ学校に通って、その内7年間同じクラスだった。中学3年まで同じじゃなかったのは、ヤマピーが2年の終わりに転校しちゃったからだ。ずっと当たり前にそばにいると思ってたヤマピー、実際に転校してからアレレ?ってなったのです。それまで、彼のこと好きだって知らなかったから。自分でも。これが、お互い結婚した今でも引きずっている、私の気持ちの始まり。



はじまりの前のはじまり。

幼馴染みと言うと、隣同士に住んでたとか親が仲良いとかいうイメージがあるけどそれはマンガの読みすぎ。私とヤマピーの家は歩いて15分くらい離れてたし、学校が同じということ以外に特別なことはなかった。小一から中一までずっと同じクラスだったというのはちょっと珍しかったかもしれない。小学校低学年までヤマピーは「同じクラスの怖い男子」だった。私は今と違って大人しく主張ができないタイプで、運動も勉強も遊びも苦手でトロくてすぐ泣くような弱々しい子供だった。対してヤマピーはボス猿みたいな感じ。勉強もできてずっと地元のサッカークラブでキーパーやってて、ムードメーカーでもあってみんなに慕われてた。

小学校で初めて会った時のことなんて覚えてないけど、アルバム見たら入学式で手を繋いで写ってる写真があった。出席番号順だかなんかでたまたま、前から並んで隣同士だったんだろう。新一年生らしく手を繋いで移動してるところだったみたい。私の記憶の中にはない、まだメガネもかけてないヤマピーだ。生意気そうな憎らしい顔してる。そして私はあどけなく、不安そうな顔しているけど地味に可愛い。このときなに考えてたのか、タイムマシンに乗って聞いてみたいもんだ。



気づいたらいつも隣にいた

小学校高学年くらいから、私も図太くなった。相変わらず運動も勉強も苦手だったけど、お喋りは人並みにできるようになってた。私の中でヤマピーは、クラスの怖い男子→苦手な男子→なんかウマが合うやつ、に変わっていた。小学生の時はまだ下ネタトークなんてできなかったけど、中学生ではバリバリ話してたからその辺のノリが合う2人だったんだろな~と思う。

小学生でも5、6年になればバレンタイン誰にあげるだの誰が誰に告白しただのそんな話が出てくる。私は同じクラスにいいなーと思ってる人がいて、それはクラスで何番目かにモテるくらいの人。そこそこいい感じだったんだけど、バレンタインにチョコあげたら一気に避けられるようになってしまった。そんな時、いつも近くの席でバカ話して盛り上がってた相手はヤマピーだった。


中学生になって制服着るようになって違う小学校の人もたくさん同じ学校に通うようになって、1年生の時また私とヤマピーは同じクラスになった。女子と上手くやっていけなかった私は、ヤマピーとその周りの男子たちと下ネタやバカ話ばっかりやってた。とても平和な時間だったように思う。全校集会で暇な時間も、背の順で並んで大体いつも隣同士だった私たちはまたバカで下品な話を繰り広げていた。

中学2年になって、私たちは初めて違うクラスになった。そこで違和感に気づいた。あれ?ヤマピーが同じクラスにいないのって…つまんないな。たまたま隣のクラスで、相変わらず背の順で並ぶと隣同士になるから全校集会ではいつも隣にいるし、あまり深く考えないようにした。



不登校の私と優等生の彼

少し話が前後するけど、私は小学校高学年から学校を休みがちになった。明確な理由なんてもうわからないけど中学でガチ不登校になる前兆だった。小学6年の時には既に「よく学校休む人」という認識をされていて、中学生になってもそれは続いた。1年生の3学期にはついにほとんど学校に行かなくなった。それでもたまに学校に行けばヤマピーとお喋りして、それは自分の社会性を取り戻せる時間のように感じた。

ヤマピーはヤンチャなボス猿から学級委員長タイプになった。人柄はヤンチャな部分も残しつつ、何より勉強ができてずっとサッカー続けてキャプテンとかやってたから。委員長タイプになるのは自然なことだったかもしれない。

中学生になると生徒会というシステムが現れる。学級委員長タイプなら、普通に生徒会に入りそうなもんだ。対して私は不登校の不良タイプ。実際に不良だったわけではもちろんなくて、今で言う陰キャの引きこもりだっただけですけどね。いつも隣にいたけど実は段々、なにかの距離がどんどん離れていってたのだ。初めて違うクラスになった中学2年の時、ヤマピーは当たり前のように生徒会に入った。私は更に学校に行かなくなった。



すれちがい

あまり学校に行かない。クラスも違う。当然、お喋りの機会は激減する。放課後や部活動の時間に顔を合わせても言葉を交わさない、なんて時間も増えた。1年生の時だったらそこでも立ち止まってお喋りしていたはずなのに。バカなジョーク飛ばしたりとか、簡単にやってたはずなのに。

当たり前に一緒に卒業するんだと思ってたヤマピーが転校すると知ったのは、本人からじゃなくて噂話からだった。

今でも、この事を書こうとして思い出すと

とても胸が締め付けられる

なんともいえない気持ちになる

泣きそうになる



なにも言えないまま別れた

冒頭で書いた、全てのはじまり。

実は転校したこと自体ではなくて、
彼になにも言えないまま
なにも言えないまま

お互いなにも、言わないまま

引越して転校しちゃったこと。
これがはじまりだったんだと思います。この時の後悔をずっと引きずっている。このあと、連絡取り合ったり何回か会ったりしてるんだけどずっとずっと引っかかって私の中で終わってないのはこの時のことがあるから。


今でも鮮明に思い出せる、転校するの?って聞こうとして聞けなかったその時のこと。

部活終わりで帰り支度とかやっていて、実はヤマピーに会えそうなのを計算してダラダラしてた。

たまたま、お互い1人で廊下のこっちと向こうで目が合って。目が合った瞬間がとても長く感じる。私は今でもあれが永遠のように感じるけどたぶん一瞬だったんだろう。

言うなら今しかない!って思って、思って思って、どうしても口もなにも動かなくて……言えなかった。

向こうもなにも言わずにスッと部室の方に行ってしまった。


穿った見方をすれば、もしかしたらお互いに意識していたのかなーとか思う。なにか言おうとした私、なにか言おうとしたヤマピー。私は本人の口から聞きたかった、仲良いはずの私になんで直接言ってくれないの?って思いがあった。それを言うのが怖かった。ただ、転校するの?って聞くだけで良かったのに。この時ヤマピーもなにも言えなかったのは、私のその思いを察してたんじゃないかなって妄想だけど思ってる。

そう、この時のことを未だに聞けてない。

聞けないまま言えないまま、上辺だけいい友達を続けてお互いに恋愛相談とかしたりして、でも会うとセックスしたりして、そして結局こじらせたまんま連絡できなくなっちゃった。だから今でも終われなくて、こんな風に吐き出さないとダメなんだと思う。2人とも結婚したからもうお終い、ってなれないのは後悔を残してるからだよなきっと。あと思い出補正。



ここまで、まだヤマピーのこと好きだと気づいてません。次回は、実際にヤマピーが転校してその気持ちに気づき始めるところから。

続き→ 幼なじみという呪い。③【好きでしかない】

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