自己犠牲とリーダー論

私には推しであり、人間として尊敬する人が2人いる。
どちらも同じEsports競技にかかわる人である。
一人は選手として、もう一人は元選手であり現在はコーチとして活動している。
チームや立場は異なるがどちらも日本の競技シーンでトップを走り続ける人だ。
彼らには共通点がある、と私は思う。
彼らはいわゆるゲームメーカー、チームの司令塔的な役割である。(元選手も当時は司令塔の役割を担っていた)
司令塔ということはチームを、メンバーを勝たせるために最適の手段を考え提案し実践してゆく。
様々なキャラクターの司令塔がいるだろう。
彼らはその中でも自己犠牲を平気でする人たちである。
いくらチームプレイとはいえ、個人技でいいところを見せたいというのがあるだろう。
一人でも多く倒して、観客が盛り上がるような華麗なプレイをして、脚光を浴びたい。私がもし選手だったらそう思うかもしれない、せっかくならば人気者になりたいし、何よりも爽快感がすごいから。
にもかかわらず、彼らは仲間を優先させる。
PM理論でいうならばMが強いタイプに当てはまるだろう。

※PM理論とは
『PM理論とは、リーダーが取るべき行動に着目した行動理論の1つ。リーダーシップ行動を、「P:目標達成機能」(Performance)を重視するか、「M:集団維持機能」(Maintenance)を重視するかという、「P」と「M」の2軸で定義するもの』
引用、詳細は以下より
https://www.learningagency.co.jp/column_report/column/hrd_column_56_171208.html

仲間の防具がピンチの時、自分の防具を差し出す。
銃弾数が少ないと聞けば、自分の最低限の分だけを残してそれ以外を渡す。
仲間のナイスファイトをリアルタイムで反応し称えることができる。
メンバーの提案を受け入れその中からいかに効率的でありかつメンバーの意見を尊重した形でゲームメイクに組み込めるかを考え再提案することができる。
自分の生存よりも仲間の生存を優先し、自分の利益よりもチームの利益を考える。
これをいかなる戦況にあってでもできるのだ。
きっと素でその考えに至らないとできないだろう。

パッションで、パワーで「俺の後ろをついてこい」というタイプではない。
そんなタイプのほうが強そうで頼りがいがある、と思う人もいるだろう。
ただ私はそうではなく、メンバーを信頼しているからこそできる自己犠牲の行動ができる人の方がかっこいいと思うし、理想のリーダーだと思う。


私は学生時代に部活動の部長の総会を仕切る立場を1年半ほど行っていた。
また総会自体の立ち上げにも少なからず関わった。
そこでいろんな部長、つまりリーダーたちと接して思ったことは、いかにリーダーや仲間が楽しいと思いながら活動できるかが継続のカギになるなということだ。
継続すればするほど、洗練されるセンスや上達する技術が存在する。
自然を以前より良い成績に結び付くだろうし、長い目で見れば将来優秀な人材が自ら行きたいと思えるような部活が出来上がる。
ではみんなが楽しいと思いながら活動するにはどうしたらいいか。
それは自分と周囲が信頼しあえ、尊敬しあえる環境が作れるということではないか。
自分が絶対にいなければならないという、重苦しさを感じることなく、だからといってしっかりと帰ることのできる場所がある。

私も総会を立ち上げる際に「総会が楽しくて自ら行きたくなるところ」「重苦しさを忘れて帰ってこれる場所」でありたいと思った。
総会が楽しいとか帰る場所とか、本来の言葉の位置づけからしたらおかしい話かもしれないがそうでありたいと思ったのだ。
その総会を実現するためにどうしたらいいかと考えた時に長になる私は「長らしくない長」つまりPM理論でいう、Mを重きにおいたリーダーであろうと思ったのだ。
簡単なことから言えば前に立って司会進行したり仕切ることはあるが絶対に「壇上」には立たない、物理的にも精神的にも同じ目線で話をする。
学年や年齢は関係なく必要以上の敬語は使用しない。個人間身内のみの場合はあだ名で呼ぶ。(ただし第三者がいるときは必ずさん付けをする)
リーダーになれば得られるであろう立場や威厳を意図的に可能な限り捨てた。
いうならば「影の立役者」であろうとした。
それが自分の性格にあっていたというのもあるし、結果として前に出るときに「あいつがでてきた」みたいな雰囲気が生まれ一層の注目を集めることができとても効果的だった。

実際に競技シーンを見ているとPが強い人間こそリーダーに向いていて、Mが強い人間はリーダーらしくないという意見を見ることがしばしばある。
きっとこれは競技シーンに関わらず、様々なシーンでそう言われているのだろう。
ただ多くの人に知ってほしい。
必ずしもPが強い人間が絶対にリーダーに向いているわけではないと。
一緒にチームやグループを組むメンバーとの相性や活動する業界のカラーによって向いているリーダーは異なるし、色んなキャラのリーダーが存在していいということを。

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