軽トラおじさんが来て、「長靴履いて出てこい」と言うから

今日も軽トラが来た

うちは山の中腹に建ってて、割とポツンとそこにある。
車かバイクでしか人は来ないし、うちの前を通る人は大体うちに用事がある人。
車通りがあまりないから、誰かが来ると聞こえるし、
私が聞こえなくても、ヤギが気づいてメーメー鳴いて知らせてくれる。
うちにドアベルはない。

軽トラでよく人が来る。
今日の軽トラの人は、家の出入り口の上の坂にいた。
正確には、軽トラがそこにあった。人の姿は見えなかった。
「誰かきたの〜?」とヤギに話しかけてると、
「ピー」

口笛の音がした。
見上げてみると、週3回くらい会う
草刈り含め色々とお世話になってる軽トラおじさんYだった。
明るい緑のジャンバーを着て、山の中でも目立っていた。

「何履いとる?長靴履いて、買い物袋を持ってこいよー」
と言うから、言う通りに。
いつも説明は少ない。目的の説明がない。
トイレに行きたかったけど我慢して、
少しドキドキしながら急いで出た。
「買い物袋」とはきっとレジ袋のことだと思い、
使用済レジ袋を握りしめて。

ヤギたちはこのおじさんが大好きだから、
出してくれとメーメー鳴いているが一時保留。
森で採れる季節の食べ物が先決だ。
ヤギを放したら、食い散らかされる危険性もある。

裸足に長靴で、さらに小石が中に入っていて歩きにくかったが、
それも無視して小走りで坂を上がっていくと、
たどり着く前に軽トラおじさんYが話し始める。
聞き取れない。
「今年はいっぱい生えている」というようなことを言っていたんじゃないかと推測。
いつもこの季節にもっと山の上の方に取りに行くことにしていて、
今も行ってきたが、うちの裏の方が生えている、ということだった。

いくち

生えていたのは「いくち」だった。
これはこのあたりの呼び名のようで、一般的にはアミタケというらしい。
傘の裏が網目状になっていて、ナメコのように粘っこい。
生えているときは黄色〜黄土色だが、茹でると紫色になる不思議なキノコ。

二人で50-60個採り、軽トラおじさんYと半分こした。
「味噌汁は作るのか」
「え、どんな質問ですか?お味噌汁、作りますよ。息子も好きだし。」
「いくちは味噌汁がいい。一度茹でると汚れも取れるから茹でてから普通に料理すればいい。あと、採ってもまた何度でも出てくるで、たまに見にくるといい。」
そう言い残して、軽トラおじさんYは走り去っていった。

採って5分後にはきのこ汁作り

出してほしくてメーメー鳴くヤギたちを尻目に、
早速きのこ汁作りに取り掛かる。

大きなボウルに水とイクチを入れてガシャガシャ5-6回ゆすぎ、茹でる。

お味噌汁の材料は、、
魚市場で買ったお徳用の出汁パック。
軽トラおじさんHにもらった里芋を皮ごと投入。
冷凍庫に猟師さんにもらった猪のバラ肉があるのを思い出してそれも投入。
それにしめじと油揚げ、こんにゃくも。
お味噌は薄い色の田舎味噌とマルコ醸造の「百年伝承味噌」という少し苦味?みたいな深みがある赤味噌系の熟成味噌。

今まさに煮込んでいるところ。
今日のお昼は、息子の朝食の残り(砂肝とシシトウとイワシ節の魚醤チャーハン)ときのこシシ汁。
あじめこしょう(この辺で室町時代から栽培されている唐辛子)の一味をたくさん入れて食べよう。
あったまりそう!

謎の達成感

こういう、突発的な来訪者があり、
屋外で一緒に何かをすると、ものすごい達成感を感じるのは何故だろう。
今日は特に、いつもは作らないような季節の料理を作っているからなおさら。
(ただのお味噌汁だけど)
帰ってきた息子に胸を張れるし。
いつも腹ペコだから、きっと喜ぶだろうな。

そろそろきのこシシ汁ができるころ。
お腹すいたし、今日はこのへんで。



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