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確定申告のすすめ~ラインスタンプクリエイターの目線から

確定申告の時期がやってきました。
本記事は、ラインスタンプクリエイターで確定申告しようかどうか迷っている方、何とかして手取りを増やしたいと思っている方向けの記事です。それ以外の方には、あまり関係ない話です。

※なお本記事は、いくつかのサイトを参照し、確からしいと判断される情報に基づいて作成していますが、実際の確定申告の手続き等においては、自らの責任の下で実施いただきますようお願いします。説明不十分・ミスリード等により何らかの不利益があったとしても責任は負いません。

確定申告しなくてよいのはラッキーなことなのか

「会社で年末調整しているし、分配金も20万円未満だったから確定申告しなくてよかった。ラッキー!」って思っていませんか?
本当にそうなのでしょうか?確定申告は義務で、それを回避できたからラッキー!という考え方、今一度、よく考えてみてください。

確定申告しなくても、源泉徴収という名のもと、すでに税金は払っています。その税金の金額は適切ですか?

知ってますか?確定申告しない場合は、住民税の申告が必要ですよ。

どこかで「??」と思った方、今一度、よく調べてください。

知らなくて損することもあります

源泉徴収額

ラインスタンプの分配金を振り込んでもらう時点で、すでに所得税が源泉徴収されています。(住民税は徴収されていません。以下の説明は所得税に関する説明です。)

ラインスタンプの分配金は、デザイン料の扱いで、以下の税率で源泉徴収されています(念のため、urajoの振込実績を計算してみたら、その数値通りになっていました。当たり前か。笑)。

■1回の支払金額が100万円まで:
 支払金額×10.21%
■1回の支払金額が100万円を超える場合:
 100万円×10.21%+(支払金額-100万円)×20.42%
※つまり、1回の支払金額が100万円を超える場合は、100万円を超えた分に関しては、20.42%の金額が源泉徴収されるわけです。

urajo作成

これを見て「じゃあ、1回あたりの振込金額が100万円未満になるように、細かく分けて振込してもらったら、源泉徴収額が10.21%になるから得じゃないか?」と思いました?!

そんなおいしい話はありません!笑

そんなおいしい話はないですよー

20万円を超えたら確定申告しなければなりません。確定申告したら、1年間の総額に対して税額が決まるから、細かく分けて源泉徴収されたからといって、何の得もありません。気のせいです。笑
むしろ分割した回数分、振込手数料が増えますよ~。

次に所得税の税率に関してみてみます。ざっくりいうと、以下のとおりです。

195万円以下:5%
195万円を超え 330万円以下:10%
330万円を超え 695万円以下:20%
695万円を超え 900万円以下:23%

※平成25年から令和19までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

(国税庁)https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat2/cat24/cat240/cid057.html

※これより上のゾーンもありますが、ここでは掲載しなくて良いでしょう。たくさん税金払ってください。

さて、あなたの年間所得がラインスタンプの分配金を含めて195万円以下だったとしましょう。仮にラインスタンプの分配金が19万円で「20万円未満だから確定申告しなくてラッキー」と思ったとします。

本当にラッキーですか?!

本当にラッキーなの??

最初に書いた通り、振込時点で10.21%の源泉徴収が終わっています。
つまり、19万円×10.21%=19,399円の税金を払ったということです。
所得税の税率を見てください。
195万円以下だと、5%(+復興特別所得税)の所得税、つまり、19万円×5%+(19万円×5%×2.1%)=9,699円の所得税を払えばよい、ということになります。

その差額:19,399円-9,699円=9,700円です。
仮にスタンプ当りの収益が31円だとすると、
9,700円÷31円=312個のスタンプ
を売らなければならないほど、余計に税金を支払ったということです。

たくさん税金を払っても有効活用されるならいいや、という人は、そのまま確定申告せずにおきましょう。

いいもーん

別のケースを考えてみます。
あなたの年間所得がラインスタンプの分配金を含めて330万円以下だったらどうでしょうか?所得税の税率が、10.21%になり、源泉徴収される税率と同じなので、このゾーンであれば、確定申告しても税金の還付が期待できず、手続きが面倒なだけ、と思いますよね。基本的にはその通りかと思います。
でも、もし330万円の所得の内訳が、ラインスタンプからの所得=250万円だったら?100万円を超える分、つまり150万円(=250-100万円)に対しては、20.42%の源泉徴収がなされているのです。つまり払いすぎなのです。

一番やる気が出ないケースは、年間所得が「330万円を超え 695万円以下」で、その内、ラインスタンプの分配金が20万円に満たない場合でしょうか。源泉徴収されるのは10.21%ですが、確定申告すると20.42%のゾーンで税金を払うことになりますので、おそらく追加で税金を納めることになるでしょう。まあ、その場合も損をしたわけではなく、払うべき税金を払った、ということですけどね。

こんな感じで、確定申告は面倒ではあるものの、払うべき税金の金額が適切な金額になります。また、自分がどれくらいの金額を税金として納めているのか確認できますので、金額の多寡に寄らず、確定申告することをお勧めしたいです。

住民税

ラインスタンプの分配金は、雑所得の区分になります。
※正確に記そうとするとかなりややこしいので、以下、シンプルに会社からの給与所得者が副業でラインスタンプを販売している場合を想定して書きます。

(1)雑所得に対して、所得税と住民税がかかります。
(2)所得税は、会社から得ている給与所得以外の所得の合計が20万円以下の場合、かつ年末調整が済んでいる場合、確定申告が不要になります。
(3)確定申告した場合、住民税の申告は不要となります(確定申告することで手続きは完了します)。

私は会社員で「すでに年末調整しているし、雑所得が20万円未満だったから、確定申告しなくてよかった、ラッキー」というのは、上記の(2)の部分だけを取り上げて言っているのです。

よく見てください。(1)と(2)と(3)の間に、ついつい見落としてしまう隙間があります。

「確定申告が不要」≠「住民税の申告も不要」なのです。
「確定申告をした」=「住民税の申告は不要」なのです。
言い換えると「確定申告に基づいて翌年度に払う住民税が確定したから、重ねて住民税の申告をしなくてもよい(すでに終わった)」)ということなのです。

つまり「確定申告をしない」を選んでも「住民税の申告は必要」なのです。

まじですか?!

ちなみに、会社員でなく、年末調整されていない場合は、そもそも(2)の要件を満たしませんので、金額に寄らず、住民税の申告が必要となります。

以上のことから、ややこしいことを考えているより「確定申告しておけば安心」というのが、urajoの選択です。

青色申告のすすめ

ここから先は、確定申告を当然のようにやっている方向けの内容になります。ここまでの内容を見て「確定申告しない」ことを選んだ方にはあまり参考になりません。分配金が20万円を超えて確定申告を実施している方や、いずれ「年間20万円をこえてやるー」って思っている方は、ぜひご覧ください。

青色申告のメリット

青色申告すると、最高65万円を控除することができます。
※「青色申告」に関する詳しい要件や手続き方法は、国税庁はじめ、あちこちのサイトに解説がありますので、ここでは書きません。詳しいサイトをご覧ください。

「65万円の控除ができる」ということは、ラインスタンプの分配金収入が65万円に満たなかったら税金がかからないということです。
もう少し正確にいうと、「分配金収入からラインスタンプの創作にかかった様々な経費を引いた金額」が65万円に満たなかったら税金がかからないということです。

例えば、ラインスタンプの分配金収入が65万円だった場合(ややこしいので経費は掛かっていないとしましょう)、
65万円×10.21%=66,365円
の所得税が源泉徴収されます。

青色申告して、65万円の控除を受けることができたら、この税金がかかりません。つまり、源泉徴収された66,365円が還付される(返ってくる)ことになるのです。

ラインスタンプを販売している人ならわかると思いますが、分配金を年間66,365円増やすためには、相当の努力が必要です。スタンプ1個当たりの分配金が31円だとすると、2,140個(1日あたり5.8個)も売らなければなりません。

その努力を、青色申告する努力に向けたらどうでしょうか。分配金を10%程度増やすことと同じ効果が期待できます。

できるかなー。やってみます。

ラインスタンプの分配金が100万円以上ある場合にも、この65万円の控除の効果は大きなものとなります。100万円を超える分には、20.42%の源泉徴収がされています。
「330万円を超え 695万円以下」のゾーン(税率20%)の方の場合、65万円の控除によって、「195万円を超え 330万円以下」のゾーン(税率10%)に下がるかもしれません。ラインスタンプの分配金以外の収入の多寡があるので単純には言えませんが、100万円を超えた分配金の税率が20.42%→10.21%に下がるケースがあるのです。
例えば、ラインスタンプの分配金が150万円の場合だと、100万円を超えた50万円には20.42%の所得税が源泉徴収されています。これが、10.21%になると、約51,000円の還付が期待できます。

以上、いろいろ考察してきましたが、これらは所得税に関する考察です。繰り返しになりますが、住民税については、これとは別の話です。

個人事業主のメリット

話が少しそれますが、個人事業主のメリットについて書いておきます。

最大のメリットは、上で書いた青色申告のメリットです。

青色申告するためには、個人事業主にならなければなりません。
「個人事業主になる」と聞くと、何か難しそうな印象を受けますが、実際の手続きは難しくありません。他のサイトに詳しい解説がたくさん掲載されているので、そちらをご覧ください。

さて、そんな個人事業主ですが、青色申告のメリット以外のメリットはないのでしょうか?!実際になってみると、青色申告以外のメリットがあることがわかりました。

その一つが、amazon businessです。
amazonで販売している商品に、法人割引(個人事業主も含む)が受けられる商品があります。

urajoは、早速、amazon businessに登録し、ラインスタンプ創作に必要な消耗品を注文しましが、その商品は、個人向け価格の20%割引でした。もっと早くから気が付いていたらよかったのに。これから個人事業主を目指す方は、一度、amazon businessのサイトをご覧いただくとよいと思います。

※amazon businessへのユーザー登録要件の一つに「個人事業主であること」という要件があります。「個人事業の開業届」とそれが受け付けられたことの証跡(国税電子申告・納税システムからの受信通知など)が必要になります。

※ちなみに、このサイトからamazon businessへの登録に至ったとしても、urajoには何のメリットも見返りもありません。また、amazon businessへの登録を推奨するものではありません。

そこまでは知らん。自分で決めてね。

個人事業主+青色申告に必要なこと

以上のようにいろいろなメリットがある個人事業主、青色申告ですが、そのためには、結構大変なことが待っていました。

詳しい要件や手続きなどは、国税庁のHPに掲載されていますが、urajoの最大の難関は以下でした。

複式簿記

これまでのような現金主義による単純な収入・支出の管理では済まなくなりました。複式簿記の勉強をしつつ、会計ソフトの助けを借りる必要がありました。

これまでは、1年に1回だけ1年分の分配金をまとめて振り込んでもらい、それに基づき確定申告していました。ところが、複式簿記は発生主義なので、分配金の振込が行われた時だけ管理すればよい、というわけにはいきません。毎月の分配金を帳簿に付けていくことになりました。

とはいえ、ラインスタンプの創作だけであれば、商品の仕入れ等もなく、記録することは、かなりシンプルかつ少ないです。クリエイターさんによっては、(経費扱いにするものがあまりなく)毎月のLINEさんからの分配金の管理だけすればよい、というケースも多いのではないでしょうか。

そして最も悩んだのが、年をまたいで振り込まれる分配金の扱い、特にその分配金から引かれている源泉徴収税の扱いです。
この点だけは、複式簿記の方法を相当調べました。さらにその考え方に基づき会計ソフトにどう入力すればよいか、という点も試行錯誤しました。

会計ソフトが、仕訳帳・総勘定元帳を作成してくれるのですが、あらかじめ引かれた源泉徴収税が、その年の「受取報酬の源泉徴収税」として計上されていないと困るからです。

この点に関しては、まもなく始まる2023年の確定申告で最終確認して解決する見込みです。また機会がありましたら、記事で紹介するかもしれません。

電子帳簿保存

最近まで知らなかったのですが、電子帳簿保存法というのが制定されていました。青色申告65万円の控除を受けるためには、会計データを電子データとして保存しなければならなくなったようです。

いろいろ調査した結果、購入した会計ソフトに、証憑データを保存するクラウド領域が無償で付加されていることがわかり、この点は簡単に解決できました。

2024年の確定申告に向けて、早速、そのクラウド領域に証憑データを保存・管理し始めています。

以上のように、いろいろ複雑なことが多く、日々勉強です。それでも、最初に書いた通り、青色申告のメリットは大きく、ラインスタンプの売上を増やす努力と同じように、税金を払いすぎないことにも努力したいと思います。

がんばるでー

おわりに

ラインスタンプクリエイター目線から、確定申告について考えてみました。少し内容が難しかったでしょうか。実際には、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付控除など、様々な控除があるため、ここで書いたより、さらに複雑な状況になります。

でも、勉強したことは無駄にはなりません。税金の仕組み、確定申告の手続きなどを勉強し青色申告することは、ラインスタンプの売上を相当数増やすことと同じ効果があります。

これからラインスタンプクリエイターとして、手取りを増やしたいと思っている方、ぜひ個人事業主になって青色申告にチャレンジしてみてください。

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