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悲しき夏バテ / 布谷文夫Ⅰ 雑感

1973年リリース。布谷文夫氏のファースト・アルバム。

去年の12月にアナログ盤がリイシューされていたの知りませんで、先月レコード屋さん行った時に壁にかけてあってビックリ。お金ないけど買っちゃいましたよ。やったー。

布谷文夫氏ってどなた?という方にザックリ説明するならば大瀧詠一氏のGO!GO!NIAGARAというラジオ番組に詳しいのでそちらを探して聴いて下さい。

とりあえずジャケがカッコいい。なんか顔が元ラーメンズの小林賢太郎氏に似ている気がするのはさておき。タイトルもいいですね。ダラっとしてて。
見開きになっていて内側を見てみると当時大瀧詠一氏らと作った野球チームが野球やっている様子が収められた写真が。夏バテしてる場合じゃない。そんなだからクレジットも演奏が「福生エキサイティング・ソフトボール・チーム」になっていて野球チームのスタメンが載っているというふざけた感じに。良いなぁ。

帯にある「和製R&Bのヌーベル・バーグ」の文言もなんかハッタリが効いていて素敵。
新しい波っつーことですが確かに全編喉絞りちぎれるほどに歌う感じが独特。この日本人プラス黒人的な歌い方ってオーティス・レディングに憧れてあの歌い方になった忌野清志郎となんか通じる感じが。お互いガッタガッタ言うし。

とりあえずこの独特な歌声がカッコいいんですよ。なんか芯にガツンと当たる感じで。そんでバックも「福生エキサイティング・ソフトボール・チーム」改め「ココナツ・バンク」という伊藤銀次氏率いるバンドが演奏していてカッコいいんだねー。

数曲を大瀧詠一氏がプロデュースしてるんですが例のわけわからん変名で参加している上に何故か布谷氏と伊藤氏も変名使っててふざけた友達同士で作った感がすごい。このラフな感じでカッコいい曲作るのはズルいですね。

大瀧詠一氏がプロデュースしている曲があるA面はサザンソウル風味であったりナイアガラっぽい曲が集中している感。「夏バテ」という曲がガーネット・ミムズの「One Woman Man」のカバーという事でアンダース&ポンシア作のこちらをチョイスしてるのが大瀧氏の趣味丸出しの感じ。

「深南部牛追唄」はアメリカ深南部地方のトラディショナルソングからヒントを得て作られたと書いてありましたが曲名は多分岩手県の民謡から。大瀧氏が岩手出身という事と布谷氏が北海道出身だから馴染みがあったのかしら。民謡も日本のトラディショナルソングと言えますがこういうところの謎融合をよくするよな大瀧氏は。この曲自体は良きロックンロールですが。ちなみに民謡や音頭好きの大瀧氏が作った「ナイアガラ音頭」歌ってるのが布谷氏。

はっぴいえんどの「颱風」をカバーした「颱風13号」も独特な歌唱で情念めいた感じでカッコいい。独特な語感でリズムとる感じは岡村靖幸氏が好きな方は好きなんじゃないかしらとなんとなく思う。

B面は一転して布谷文夫氏の泥臭い直球ブルースがめじろ押しという感じ。落ち着いた演奏をバックに爆発するボーカルを楽しめるのでグワァアとなりたいならB面がよろしいですね。
特に「水たまり」のこぶし入った感じ好きなんですけど、このともすれば演歌っぽくなるギリのブルースが帯にある和製R&Bっつーことですかね。納得。

そういえば件のラジオで大瀧氏がこのレコードは当時200枚か300枚くらいしか売れなかったと嘘か実か言ってましたが大瀧詠一氏周りの再評価がやたらされている最近ならもうちょい売れるかもね。何が売れるとか流行りなんて気まぐれなもんだし。


なんか思ったより長くなって疲れた。悲しきバテ。


それではー。

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