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実
2024年1月3日 23:25
帰るのが惜しくて飲み干せなかったコーヒーが冷めていく。それは離別のためのほろ苦さだった。ちいさな半券をもらったような気持ちだ。晴れた日だったし、心地の良い風も吹いていた。だからそれを額縁に閉じて、ずっと眺めていようと思った。やってくるものが朝日かどうかもわからずに祈った。膝を折ると、それはそのまま祈りで、水面に反射する光が眩しい。信じたところで転がり落ちてゆく世界だったけれど、光はあったの