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【西洋建築史】凱旋門(フランス/パリ)

前回からの続きです.
平成12年の一級建築士試験には,次の知識が問われました.

【問題】◯か×で答えよ
パリの旧エトワール広場の凱旋門とは,バロック建築の建築様式である.


【解説】

Google Earthより

建築史のデザインとは,構造的合理性(=古典主義)の追求と,表現的装飾性(=バロック)の開花を振り子のように繰り返す.

文章で言えば,古典主義は漢文であり,品性や格式がある.一方,バロックは,口語のようにラブロマンスといったエンタメ感や感情移入のしやすさがある.

古典建築の本質から離れていったバロック建築の反動として,再び,古典建築の本質への追求が新たに始まる.それが新古典主義建築である.当時は,考古学が発達し,ポンペイ遺跡の発掘調査の成果もあって,ルネサンス期よりも,より忠実に古典建築(=ギリシャ・ローマ建築)を再現できるようになっていた.

そんな新古典主義の代表作は,パリの旧エトワール広場(現シャルル・ド・ゴール広場)にある凱旋門である.古代ローマ(=古典建築)において,戦勝祈願の記念碑(モニュメント)として建造されていた凱旋門を模している.フランス革命後に,市民革命の伝播を恐れた他国からの侵略からフランスを守り抜いたナポレオンの戦勝を祝って建設された.ナポレオンを古代ローマ帝国の皇帝として見立て,その権威を示すため,古代ローマ皇帝が好んで建造していた凱旋門を高さ50m,幅45mというローマ時代には実現できなかった規模感で巨大化させている.それ故,建築に30年もかかり,ナポレオンはその完成を見ることなく,この世を去った.

オーダーは使用されてないが,古典建築のデザインに基づいて建築されている.したがって,凱旋門はバロック建築でなく,新古典主義建築であるため,問題文は誤り.凱旋門が黄金比からデザインされていることも知っておいてください↓

【解答】✗ 
上記の解説動画(60秒YouTube)は↓

続く


【参考となるYou Tube動画】時間のない方は視聴不要

以上


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