クラフトビールがクラフトビールであるために今と過去と未来を行き来する。
2019年、立場はプロデュースですが、「大森山王ビール」、NAOMI&GEORGEをリリースし、ようやくクラフトブルワリーの一員となりました。
多くの機会をいただき、駅での催事や各種イベントの参加や主催、1年前に想像していた形とは全く違う形となりました。
ビールを作ったことで、多くの関係地が生まれ、繋がりが増え、機会が増えました。
とは言え、まだまだひよっこもひよっこ。
ブルワリーではあるけど、ただのブルワリーではない活動体であるために、2020年3つの目標を掲げることにしました。
1)ビール工場を作る
年末催事をアトレ大森さんでやらせていただきましたが、「大森で作ってないんだ?」という声をたくさんいただきました。
大森には20年ほど前まで、アサヒビールの工場がありました。アサヒビール、起死回生の「スーパードライ」が生まれたのはこの大森。あまりに売れすぎて、なかなか工場が移転できなかったという話も聞きました。
そんな大森でのビール工場。
それは元々僕の夢だと思っていたけど、それはこの町に住む人たちの夢だと気づきました。元々、2021〜22年くらいに作れたらと考えていたのですが、これは早急に進めたいと強く思うようになりました。
一人で資金を集めて、作る方がひょっとしたら簡単かもしれない。だけど、この歴史を踏まえて、どれだけ多くの人に興味を持ってもらい、参加していただくか、そこまで考えて作らないといけないなと考えています。
そして、どういうビールを醸造するかもミソだと思っていて、そのアイディアはまた追ってお伝えさせていただければと思います。
2)本を出す
僕がビールをやりたいと思う、1番のきっかけは「胸を開く機会を作る」です。いつも使う、福沢諭吉の下記のビール論、
「ビィール」と云ふ酒あり。是は麦酒にて、其味至て苦けれど、胸膈を開く為に妙なり。亦人々の性分に由り、其苦き味を賞翫して飲む人も多し。
(「西洋衣食住」/『福澤諭吉全集』所収)
そして、大森にゆかりのある、伊藤博文や井上馨がしたかったことでないかと思うわけです。(今勉強中)
すなわち、目の前のものに興味を持ち、何かしら関わりを作る姿勢でいるということ。この辺りの理論を一度まとめたいと考えています。
これまでも何度かそんなことしたいなと考えていたのですが、最近、ビールのことを学ぶにつれ、ビールの背景にある歴史や言葉や文化に興味を持つようになりました。
もちろん、工場を作るのであれば、ビールの作り方の知識が必要。だけど、そこでトップを目指すのではなく、もっと俯瞰してビールやビールがある場を作るためにも、今一度、その辺りの思想や考えをまとめて、アウトプットすべきではないかと考えています。
となると、インプットも必要ですね。僕は「歴史」が一つキーワードになると思っていて、ちょうど年末に読んだ、原研哉さんの「デザインのデザイン」にあった
古いものの中にある今日に重要な価値観を摘出し、未来を語るメッセージとして用いることが新鮮なのだ。それによって太古から未来を見通していく壮大なパースペクティブが表現できる。
つまり、歴史を使った方がダイナミックになるということですね。
この辺りを明治期の言葉の輸入=すなわちビールが日本に入ってきたあたりを掘ると物凄い発見があるんじゃないかなというのが今の思いです。
3)歴史をフル活用できる仕組みづくり
これはちょっと言葉にしづらいのですが、もっともっと歴史を自由に使い、未来に飛べるような仕組みを1)と2)に加えたいなと思っています。
これは地域通貨などでも思っていたんだけど、まちをよくしたいと思う団体とかっていっぱいあるんだけど、結局「お金(原資)」で進まないことがあって、その原資を歴史やビールから作れないかなと思っているのです。
この辺りの実装を工場の実装と共にしつつ、本も出せないかなというのが、今年の目標です。
ここからは、ビールをただ愛する人の提言として、
このままだとクラフトビールも地ビールの低落みたいにならないのかなということ。「こんな味のビールはどうだ!?」ではやっぱり一方通行で、
どうやったらそのビールに参加できるか、その辺りがクラフトビールの真髄があるし、とりあえずクラフトビールからの脱却なんじゃないかと思う。
つまり、経済を作れるかってことでもあるのかなと。
工場作って、ビール作ったらクラフトビールではなくて、
ビールと共に何を売るか、伝えたいのか、その心と振る舞いがクラフトビールであるということを常に頭において、今年1年頑張りたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします!
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