現代でチ。の主人公達のようには生きるなら陰謀論者になるしかないと思う 2024年10月13日の日記

※チ。とFACT部のネタバレあります。

最近チ。という漫画を読んだ。どんな話かというと、天動説の時代に地動説を唱える人達の物語です。世界の常識が180度ひっくり変えるほどの発見をしていても、世間からは迫害され、命を狙われ、それに抗う人々を描いた話で、何ともロンマチックな話で最高に面白いです。

といいつも、やっぱり引っかかることってのはあって、やっぱりこの物語を心から楽しめるのもやっぱり私たちが地動説がおおよその現代の正しい仮説であることを知っているから楽しめ所はあると思います。ネタバレになってしまうのですが、彼らは信念のために命を落とすことを厭わない訳です。それは私たちにとっては勇敢で尊い物語に感じるのですが、それは私たちが先に世界の解答を知っているからであって、もし彼らが間違った選択のまま死んでいったら滑稽なモノに映ると思います。もちろん天動説を貫いた人達の物語も描かれるのですが…やっぱりそこには苦しさが残り、地動説で散った人達に比べると美しさに欠ける。

この漫画が流行った一因にはやっぱり私たちが先の時代の答えを知っているからこそ、世界の多くの人が気付いていないことに登場人物と私たちだけが知っているという愉悦があると思うんですね。彼等の死に際がロマンチックに映るのは、そういうこともあると思います。

で、この作者のある種の解答ともいえるのが、ようこそ!factへという作品で、これは簡単に言ってしまえば陰謀論の話です。陰謀論の内容もネットに詳しい人ならすぐに元ネタが分かると思います。これが結構キツい内容になっていて、工場勤めの冴えない主人公が、恋に破れ、次第に陰謀論にハマっていくという何ともリアリティのある話です。

これはチ。で地動説唱える勇敢な主人公達に気持ちをシンクロしていた私達をある意味では突き放すような話です。
おそらくあの漫画を読んで、地動説を唱えたかっこいい彼等のように、現代で私達だけが知っている世界の知らざる仕組みに気付いてしまったのなら、おそらくこうなるのがオチなんじゃないでしょうか。
今の世界で、陰謀論者以外で世界が180度変わるような発見を見つけ出すには、あまりに地道な勉強や努力が必要だし、それを証明するためにあまりに多くの時間を費やすことになるでしょう。多分そんなことできるのは世界の数パーセントの人達だけで、私達は何もかも知ってないのに知ったような顔で生きていくしかありません。(もちろんチ。で描かれている世界でもそれは同じことなのですが)

私だけはその選ばれし数パーセントであって、世界に真理について知っているというのなら止めはしないが、私はおすすめしない。なぜなら、私は病気になって何度もそういった真理に到達したかのような気分になって、家族や友人に何度も迷惑をかけてきたからだ。もちろん私は統合失調症と診断されている。
はっきり言って普段の私にそういった症状はなくて、幻想も幻覚もなくて、普通の人と何ら変わらないのだが、あの時のあのひらめきを世界に届けなきゃならないと思ったものだが、それはもう覚醒剤を決めた人と変わりがないと思う。そんなことを高らかに宣言したところで、無視されて終わりだ。

話が戻ってFACT部の話に戻るのですが、やっぱりこの話は本当に現実的でチ。にあったようなロマンチックさは殆どなくて、一種の逃げ先としての陰謀論があるが、そこに誰も心から陶酔はしてないのもまたキツイ。
本当にこれは身近にあるような話だし、私もそういった事にハマったりしたこともあったので、中々きつかった。

ネタバレすると、最後は主人公は勇気を出して好きな女性に告白してフラれて陰謀論からも脱して、普段のつまらない日常に戻っていくのですが、そこにはどこか清々しい顔をしているというオチ。そして最後は陰謀論者の男が読者にそんな美談でいいの?こっちにこいよと、語りかけて終わり。

良いわけねえだろ!!って私もぶっちゃけ思うタイプ。平凡な等身大の日常とかいらねえっしょ、ぶっちゃけよ。
まあなんやかんや言っても私は陰謀論者よりの人間で、他人が作った物語にハマる気はないけど、自分が作ったものなら満足かもしれない。それはもう自己洗脳みたいなものなのでしょうけど。
そうなると、本当に命かける価値があって目がキラキラするようなもので心の底から信じれるものじゃないとダメなわけで、それが本当に難しくて、困りますよね。それでも、ずっと現実の世間の価値観からは逃れられなくて、私の作った世界との板挟みのまま後悔して死ぬんじゃないでしょうか。そんな予感がピリピリしている。

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