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『こっくりマジョ裁判』についての感想TwitterやYouTubeというシステムが自白装置となり"魔女"を処刑する。

こんにちウーです。今回は、『こっくりマジョ裁判』という漫画について、思った事があるので書きます。

こっくりマジョ裁判は、原作者が『レイジングループ』などを手掛ける「amphibian」氏。作画が『ねじまきカギュー』で知られる「中山敦史」氏がタッグを組んで出来た読み切り漫画です。

ここからは、ネタバレ有で書かせてもらいます。



どういった話かというと、強制的に集められた何らかの秘密を持った女の子達が、こっくりさんを使って、ターン形式で順番に、相手の知られたくない秘密を探っていきます。

自分の手持ちの3枚のカードが開示される前に相手の3枚のカードを当てることができたら相手を殺すことができ、勝利できるというゲームのお話です。


このゲームは最初からルール説明等がなく、いきなりその場に集められた女の子達が、ゲームを通じて、この「こっくりマジョ裁判」の仕組みを探っていくというものです。


主人公は、「バグマジョ」とネットの世界で有名なゲームのバグを利用して勝つことで知られる、悪名高い、ゲーム配信者の女の子なんです。

この『こっくりマジョ裁判』というゲームシステムを作った、女の子もいて、その女の子は彼女の昔の親友であり、バクマジョに父親の作ったゲームを”バグ”によりめちゃくちゃにされて、家族を狂わされた恨みから、このゲームに招待したのです。


しかし、このバグマジョも、悪い人間かというと、そうとも言えず、ゲームを作るためならば、子供も殺めて刺激を得ようとする、父親の姿を発見してしまい、親友を助けるためにバグを発見したというエピソードがあります。


バグマジョはゲームをするにつれて、そういった自身の失われた記憶を思い出し、バグがあるのは自分自身だったと思い出し、最後は、別の世界のゲームのバグを探しに消えていきます。




このこっくりマジョ裁判というゲームは、単なるフィクションの話として見ても面白いのですが、非常に現実のTwitterYouTubeメディアに似ているな、と思うのですよね。


例えば、Twitterはこっくりマジョ裁判における、舞台装置であり、神である、こっくりさんな訳ですね。

私達、利用者は、無作為に集められたキャラクターたちであり、私たちは自身の顔や名前を伏せて、過去に犯してきた罪を白状せずに、面白いキャラクターとして振る舞うわけですよ。

そして、いいねやフォロワーを稼いで目立っているキャラクターに対して、相手の罪を暴いてやろうと奔走し、粗を探したり、過去を探って、秘密を解こうするわけです。

まさに、こっくりマジョ裁判ゲームにそっくりだと思いませんか?


YouTubeで例えましょうか。YouTubeは一見平和そうに見えるのですが、そうでもなくて、やっぱり、ガーシーやコレコレといった暴露系YouTuberが人気を得て、YouTubeの人気者が炎上により消えたりするわけで、こういった構造からは逃れられなくなっています。

一見、一番平和に見えたVtuberの世界ではそれは例外ではなく、中身をの人間をどうしても知りたくなってしまうのです。最後はやはり、相手の秘密を暴く、暴露ゲームとなってしまうです。人間ってのは愚かなものですよね。



この話は一見すると、他人を欺くような事をいって嘘をいい、自身や他人を騙す人間が悪で、ありのままである裸一貫の自分自身を持つ人間がこそが正義なんだ、という文脈でとらえる人がいますが、それも違うと思うのです。


何故ならこの""秘密""は決して、目に見えるものではないのです。つまり、頭の中にある隠し事のようなものを、自白させてしまうシステムそのもの、運営者こそが、実は一番このゲームの命運を握ってるわけです。

Twitterでは、自身の脳内や、実際に会ったエピソードを140文字以内の言葉によって告白するというシステムによって、いいねが上下して、感情が揺さぶられます。

YouTubeでは、自身の姿や形を切り抜いた瞬間の時間を切り売りすることによって、自身の価値とも近い、高評価や再生数によって評されてしまうのです。


つまり、このゲームは参加してしまったら最後、どのような形であれ、自身そのものが暴かれていくことになります。私達がこのゲームそのものに参加し、不満を持ってしまったとき、最後は魔女を告発することに繋がってしまいます。学校におけるいじめ問題のようなものです。


このSNSゲームは「バクマジョ」にようにハック可能ですが、ハックしまったら最後、自分自身のバグと向き合うことになる、ということを頭の隅に置いて自覚しない限りは、このゲームのキャラクターのように、どこかで爆発しかねません。

これを読んでいるあなたも、このゲームの参加者であり、私自身も参加者であるということを念頭に置きながらも、ぬるくゆるやかに楽しんでいこうではないか^^

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