シンナーでダイエットしようとしてたよく笑う友達の話

子供の頃から仲の良かった友達に久々に会うと、シンナーで瘦せようとしていて慌てて止めた事を思い出す。よく笑う奴だった。家にも遊びにも行ってたが、借家のような感じで貧乏そうだった。鍵を忘れたときは、少し太っている友達の代わりに、細見の自分がトイレの窓から入って内側から鍵を開けてたのを思い出す。そいつのお姉ちゃんが自殺したからお見舞いに来てくれと連絡が来て、家に行くと、狭い部屋の中で棺桶が置いてあり、その横のリビングのパソコンで友達がサドンアタックをやってたのを思い出す。ウェアハウスでめちゃくちゃキルを取っていた。友達の父親もリビングにいてうつろな目をしていた。うつろの目の父親と死体と友達と自分で気まずい空気が流れる中で無料FPS特有の安い銃声が響き渡っていた。
その日はちょうど今のような夏で近くでお祭りが開催されていたのだが、私は何を思ったのか、帰り際に「お祭りに行くけど、どうする?」と誘った気がする。友達は父親の顔をうかがって気まずそうに断っていた。

美術の時間に、先生に指名された生徒が教卓の前に立って、人物のドローイングをするという授業があった。その友達はふざけて、わざと度を過ぎた不細工に書くという手法で笑いを取ろうとしていた。私は正直その倫理観のなさに引いてしまったので、何度か辞めとけよと言ったが、繰り返し何度も一人で笑いながら、書き続けていた。思春期の女の子なんかはそれを知ったらどんな気持ちになるかは想像に容易かったが、彼はちょっと笑いのツボや倫理観がズレてる感じが常にあった。この話だけを聞くとすごく嫌な奴に思えるかもしれないが、気前よくご飯なんかは奢ってくれたり、ゲームをやってるときにニックネームの所を自分で"まんこ"と付けたくせに、何故か照れくさそうにしたりと可愛い所もあったと思う。

最近になって彼のことを思い出したのは、その美術の時間に書いた醜悪なイラストのようなことと同じことをしていた大人を見た時だった。やはりそういう手法というものは、どこかズレた人間がやりがちな手口なんだろうか。
嫌いな人間を醜く書くという漫画家なんかも結構いるが、あまりに幼稚過ぎると思う。私の友達がそのようなことをしてたのは小学生か中学生だったからそれから時が止まってしまったようで切なくなる。
彼が今何をしてるかはわからないが、今でもよく笑っていてくれたら嬉しいですよね。

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