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UPGRADE with TOKYOの活動によって示された スタートアップと東京都の協働の成果とは

東京都とスタートアップ企業がタッグを組み、様々な都政課題の解決を目指すピッチイベント「UPGRADE with TOKYO」。
その振り返りとなるオンラインイベント「UPGRADE with TOKYO After Pitch Meeting 2021」を4月26日(月)に開催いたしました。

参加者には、宮坂学・東京都副知事と審査委員を務めていただいた有識者の方々、行政関係者の方をお招きし、さらに歴代優勝社全10社の方々にもご参加いただくことができました。
全優勝社から東京都との協働の成果・進捗状況を聞くとともに、今後の官民協働をより促進していくための課題と展望についてご意見を頂戴しました。

参加者
■ 中村 陽一 様(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)
■ 前川 英麿 様(プロトスター株式会社 代表取締役 CEO)
■ 藤本 あゆみ 様(Plug and Play Japan 株式会社 執行役員 CMO)
■ 石井 芳明 様(内閣府 科学技術・イノベーション担当 企画官)
■ UPGRADE with TOKYO歴代優勝社 全10社の皆様
■ 宮坂 学 (東京都 副知事)
■ 緑川 武博 (東京都産業労働局 商工部長)

まず、「UPGRADE with TOKYO」の実施内容と登壇社へのアンケート結果を報告。アンケートでは、応募テーマのわかりやすさ・協働のスピード感・問合せ増加などに好評をいただいた一方で、イベントの認知拡大・スタートアップ同士やベンチャーキャピタルなどとの交流機会増加のご要望をいただきました。

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その後、東京都産業労働局 商工部長 緑川 武博より本イベントの実績と今後の方向性について説明しました。

2019年12月から21年2月にかけ全10回開催されたピッチイベントの累計応募数は155社にのぼり、うち49社が登壇。
各回の優勝社の企業の製品・サービスについては、都政課題解決のため事業協働に向けた具体的な協議を進めており、10社とプロジェクトを組成することができました。

今後は、アンケートの要望にもあった認知度向上や交流機会の確保等にも取り組みながら、行政が直面する課題を解決する、よりレベルの高いピッチイベントとして発展させてまいります。

全優勝社がプレゼンを披露
多彩な事業内容とアイデアで取り組む都政課題解決

次に、歴代優勝社、全10社による成果報告を含めたプレゼンテーションが行われました。

第1回
テーマ:「VR、AR、5G、ビッグデータ、AIなどの最先端技術を活⽤した、観光についての取り組み」
優勝社:株式会社Stroly

第2回
テーマ:「東京の農業・⾷を最新テクノロジーでアップデート︕」
優勝社:PLANT DATA株式会社

※第3回ピッチイベントは新型コロナウイルス感染症の発⽣状況を踏まえ延期した後、第9回イベントとして実施

第4回
テーマ:「ウィズコロナ社会における『新しい⽇常』の定着を⽬指して~都庁の働き⽅改⾰~」
優勝社:株式会社Colorkrew
第5回
テーマ:「ウィズコロナ社会における『新しい⽇常』の定着を⽬指して~都庁の働き⽅改⾰2~」
優勝社:WOTA株式会社
第6回
テーマ:「デジタルを活⽤した⻄新宿のまちの魅⼒向上」
優勝社:株式会社Mellow

第7回
テーマ:「⻄新宿エリアにおける都市型移動⽀援の実現」
優勝社:株式会社NearMe
第8回
テーマ:「テクノロジーを活⽤し様々な災害から都⺠を守る」
優勝社:株式会社自律制御システム研究所

第9回
テーマ:「東京の⽔産業、林業を最新テクノロジーでアップデート︕」
優勝社:株式会社オーシャンアイズ
第10回
テーマ:「デジタルの⼒を活⽤したスポーツ環境の創出」
優勝社:エーテンラボ株式会社
第11回
テーマ:「通信技術・デジタル機器を活⽤した都⽴⽂化施設のアクセシビリティ向上」
優勝社:株式会社GATARI

各優勝社のプレゼンは、事業内容も提案内容も非常に多彩かつ広範囲にわたります。
協働プロジェクトについては、すでに都庁内で試験運用が始まっている製品や、実証実験中のサービスがある一方で、コロナ禍の影響や行政のレギュレーションによりペンディングとなっているプロジェクトもあり、進捗状況もさまざまでした。

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「行政」と「企業」の役割を横断する
新しい社会課題解決のヒント

優勝社プレゼンの後、有識者の皆様からコメントをいただきました。

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授であり、NPO法人やソーシャルビジネスの運営をサポートする中村 陽一 様は、本イベントの社会的意義について言及。現代は行政=パブリックと企業=プライベートの役割が完全に分かれず、重層的に関係している『マルチリレーション社会』であり、優勝社のアイデアはそうした社会における課題解決のヒントに満ちています。

宮坂副知事は、スタートアップの斬新な発想を柔軟に受け入れていくための組織の対応等の必要性を挙げつつ、スタートアップの方々へは、障害やリテラシーの有無にとらわれずに利用できるアクセシビリティ対応をぜひ意識していただきたいと期待を寄せました。

そのほか、事業のテーマの広がりや、都内にとどまらず日本全国、グローバルへの展開可能性、実装された際のソーシャルインパクトなどが話題となり、優勝社へのエールが飛び交いました。今後、プロジェクトの進展が待望されます。

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行政とスタートアップが
共創するために必要なこと

続いて、有識者の皆様と宮坂副知事による「行政とスタートアップの協働促進に向けて」をテーマとしたパネルディスカッションを実施しました。

はじめに、オープンイノベーションを支援する内閣府 科学技術・イノベーション担当 企画官の石井 芳明 様に、スタートアップと自治体の協働の成功事例のご紹介と、それを踏まえて両者のタッグがうまくいくポイントについてお話しいただきました。

行政側は「課題が明確で差し迫っていること」「現場のカルチャーを変えるためのトップのコミットメント」などが重要。また、「実証段階」から「導入段階」に移る際に、非常に高い壁があります。スタートアップ側には、新しい取り組みを現場に理解させるために小さな成功を示し、積み重ねていく努力が成功のカギになるとのご意見でした。

国内外で500社以上のスタートアップを支援するPlug and Play Japan 株式会社 執行役員の藤本 あゆみ 様へは、協働においてスタートアップ側に求められるポイントを伺いました。自社事業を紹介するだけでなく、課題を的確に捉えてソリューションを考え出す努力が大切。さらに提案のプラスアルファとして、行政側が気づいていなかった魅力やメリット=「アドバリュー」を示すことも重要です。

起業家と投資家の情報プラットフォーム『StartupList』を運営するプロトスター株式会社 CEOの前川 英麿 様へは、フォローアップのポイントについて伺い、行政とスタートアップ双方のマインドセットについてお話いただきました。
行政とスタートアップは、スピード感や使う言葉がまったく違う「異文化」。その協働においてもっとも必要なことは、行政担当者とスタートアップが「熱意」を共有し、お互いの言葉を丁寧に「翻訳」しながら、「長期視点」で取り組み、厚い壁を乗り越えるために協力することであるとご意見を頂きました。

UP(引き上げる・⾼める)
GRADE(⾏政サービス価値・企業価値)
With(共に・協働・共創)
TOKYO(東京都)

を意味する当イベントの区切りにふさわしい、有意義な意見交換の場となりました。

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スタートアップの皆様へ
社会のため、行政を「使い倒す」気持ちでご応募を

締めくくりとして、有識者の方々から、これからUPGRADE with TOKYOへの応募を検討しているスタートアップの皆様に向けてメッセージをいただきました。

都政がここまで民間に大きく窓を開けている状況は、数年前には考えられません。スタートアップの皆様は、行政との協働だからこそ可能となるビジネスの拡大と社会課題解決のために、行政を「使い倒す」気持ちで本イベントを是非ご活用ください。

東京都も今年の優勝社の方々が1社でも多く実装できるよう全力を尽くしていきながら、日本中・世界中からチャレンジのためにスタートアップが集まる都市のロールモデルを目指します。

令和3年度もUPGRADE with TOKYOは、⾏政とスタートアップの架け橋として、引き続き実施してまいります。

第12回も楽しみにお待ちください!


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