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【近代史】平成の流行語を振り返って歴史の流れを勉強する

2022年も残すところあと2週間ほど。一躍トレンドであったコロナも落ち着きつつあり、ヨーロッパ地域ではマスクしている方がおかしいとされるほどになってきた。

さて、年末年始の1つ注目事項とすれば新語・流行語であるが、1年間の代名詞となる新語・流行語にはやはりそれなりに意味が込められていると筆者は感じる。

そこで今回は過去の新語・流行語を振り返ることで歴史の流れをさっと抑えられるような記事にしようと思う。

1989年(平成元年)

平成元年の新語・流行語といえば「セクハラ」だろう。

最近では馴染みのあるセクハラだが、同様に有名なパワハラと加えて昭和では世間一般的に当たり前とされてきた。

平成の特徴といえば、やはり戦争が━━━自衛隊派遣による間接的関与や日米安保改正、憲法九条の議論はあったにせよ━━━1度もなかったことに限ると思う。

終戦まもなく、日本は米国統治下で2度と戦争ができない歩兵状態にするべくGHQが推進してきた内容を受け入れながら、しかしこのまま米国追従路線ではよくないと齷齪する気持ちは政府から国民まであったと思う。

そんな気持ちの中、高度経済成長を経験してきて振り返ると様々な犠牲を生んでいたことが明らかになる。

平成元年のスタートとして次のステージにいくためには、一旦地に足をつけてより人間らしい生活を目指すという風潮があったように思う。その渦中で男女間での性差やもっと根幹的には格差のないフリーダムな世界を目指すモチベーションになったことが表れている。

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1990年(平成2年)

三高、バブル経済、アッシー君・ミツグ君が新語・流行語にあがる。

三高というのは「高学歴」、「高収入」、「高身長」を取りそろえる男性のことを指し、アッシー君は交友関係はないが送迎として”足”に使う男性のこと、ミツグ君はその名の通り貢物をしてくれる男性のことを指す。

平成2年といえばバブル期最後の年になる。この時代の傲慢さや華やかさが表れている。

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1991年(平成3年)

損失補填、過労死が新語・流行語としてあがる。

80年代後半には地価は異常な伸びを見せ、公示価格では北海道、東北、四国、九州など、1993年ごろまで地価が高騰していた地方都市もあったが、平成3年になるとバブル景気に陰りが見えてくる。

損失補填とは、金融商品取引法では第39条で金融商品取引業者と顧客の双方について禁止行為として明記されている証券や債券の売買で損をした得意先に対し,証券会社が事後に穴埋め━━━手法としては現金で穴埋めしたり,債券を安く売ったのち高く買い戻して穴埋めするなどさまざまな方法で補填される━━━することである。

88年9月から90年3月までの間に証券界全体が行った損失補てん額は1700億円に達し、野村証券、大和証券、日興証券、山一証券などの大手4社の会長、社長が国会に証人として喚問され、テレビ放映された。

一方で過労死というのも、またバブル経済の負の遺産と言えよう。

1991年8月27日、電通に入社して2年目の男性社員(当時24歳)が、自宅で自殺した。男性社員の1か月あたりの残業時間は147時間にも及んだとされる。

高度経済成長期とは、そういうモラルや公平性といったものを省みず、弱者をひき殺しながら突き進むある種、犠牲の上に成立していた。

それが時代と共に社会全体として無理が祟り、そして経済後退により、それを乗り越えられるモチベーションが無くなったのも大きいだろう。

電通事件はきっかけに過ぎず、厳しい労働環境に不満を抱えていたのがマジョリティだった時代性が確認できる。

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1992年(平成4年)

新語・流行語は、ほめ殺し

「ほめ殺し」とは、右翼団体が行う街頭宣伝活動の一形態で、攻撃対象を徹底的に皮肉を込めて誉め称えたり、嫌がらせの街宣活動を行い圧力を加える事である。

安倍晋太郎・宮澤喜一と争っていた竹下登が、右翼団体である日本皇民党から、執拗に『日本一金儲けの上手い竹下さんを総理にしましょう』と「ほめ殺し演説」を受ける。

これだけでは、

━━━なんだ政治家のいつもの小さい小競り合いか

と感じてしまうが、その背景として、恩義のある田中角栄を、竹下が裏切ったことが原因であったとされる。

竹下はこれに対処するため、腹心の金丸信に相談。金丸は、東京佐川急便の渡辺広康社長(当時)に、暴力団稲川会会長石井隆匡との仲介を依頼。東京都内のホテルで竹下、金丸、渡辺、小沢一郎が善後策を協議。その結果、竹下は田中邸を訪れ謝罪することになった。

この訪問は門前払いとなったが、事件は沈静化し、数週間後の1987年(昭和62年)11月、竹下登は総理に就任。

汚職事件はどの時代もあるが、総理誕生に闇勢力が関わったとして問題になった。

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1993年(平成5年)

新語・流行語は、清貧

政治家、官僚、財界人だけでなく、国民までもが、拝金、物欲の塊と化している風潮に対して中野の著書『清貧の思想』より新語・流行語になった。

清貧とは、無理に富を求めようとはせず、行いが清らかで貧しい生活に安んじていること。

この流行語はバブル崩壊をよく表していると思う。バブル期は湯水のごとくあふれ出るお金に誰も疑いを持たず、お金のありがたみを感じるなどといった謙虚さはない。

不良債権やリストラも新語・流行語に入っている。不良債権は平成3年で見た損失補填とは異なり、銀行など金融機関において、貸付(融資)先企業の経営悪化や倒産などの理由から、回収困難な債権を言う。

つまり今まで羽振りよく貸していた銀行と利息を正しく返済できていた企業との関係値に、経済状況の悪化により滞りが見えてきたのである。

それは従業員にとっても例外ではない。1993年から2003年に向けて右肩あがりで完全失業率が上がっている。

ただ流行ったとかではなく、そんな時代背景を忠実にとらえた新語・流行語となる。

平成元年から平成5年までさくっと振り返ってみたが、新語・流行語を時代背景や前年までの歴史の流れとともに捉えなおしてみると大きな日本の流れが分かって面白い。

需要があれば平成6年以降も振り返る。

━━━FIN



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