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note【ビジネス書:要約&書評】#4 キャズム ver2 新商品をブレイクさせる「超」マーケティング理論(著:ジェフェリー・ムーア)

シリーズで掲載しております、ビジネス書を中心として書評の第4弾、今回は『キャズム』という本のご紹介です。サブスクリプションモデル、特にハイテク商材(3Dプリンタ、クラウドサービス、スマホ、タブレット)などについてどのように市場に広まっていったのかを事例を交えながらマーケティングを中心に記載された書籍になっております。
そもそもタイトルにもある『キャズム』とは「隔絶・溝」を意味する言葉でスタートアップ界隈では自社サービスや製品を市場で成功させるために超えなければならない谷というが分かり易いでしょうか?この溝というものが一体どんなものなのか、またこれを超えるためのマーケティングについて記されているのが本書になります!

1.この本を読んだきっかけ

前回の書評の時ときっかけは同じで、SaaSビジネス業界への転職を予定しており、社員の方から業界の理解のためにおすすめされました。また成長しているスタートアップ企業について新しい技術やビジネスモデルに注目が行きがちだったのですが、そんな企業に共通するマーケティングの原理、原則のようなものも知りたいと思い、読ませていただきました!

2.この本はどんな人におすすめ?

・マーケティングに携わっている方(特にハイテク商材やサービスを扱って
 いるは参考になると思います。もちろんそれ以外のマーケターの方にも
 学びはあると思います!)
・起業を検討されており、将来的にビジネスを大きくしていきたいと思って
 いる方。
・大企業で新規事業を担当されている方(マジョリティに対してのマーケ
 ティングとのGAPを認識するのにとても最適!)

3.本の目次とあらすじ

■序章 マーク・ザッカーバーグが億万長者になれるなら

■第1章 ハイテク・マーケティングー錯覚

市場には正規分布曲線(よく偏差値に使われる左右対称の山のような形、表紙の下の方に描かれているもののイメージ)で描いたような形で、新しい商品やサービスを購入する顧客を順番に①イノベーター、②アーリーアダプター、③アーリーマジョリティ、④レイトマジョリティ、⑤ラガードという5つのタイプが存在しており、これを順番に攻略することが重要と説明し、特に今回テーマとなっている「キャズム」が②アーリーアダプターと③アーリーマジョリティの間に存在しており、このキャズムをスタートアップがどのように超えていくか(広く市場に商品を広めていくか)を説いている。

■第2章 ハイテク・マーケティングー悟り

①~⑤のタイプについての特徴を説明している。特に今回キャズムの間にいる②アーリーアダプターをビジョナリー、③アーリーマジョリティーについては実利主義者と表現し、それぞれ違った特徴を持っているため、仮に②に自社のサービスや商品が受け入れられたとしても、同じように③に受け入れられるわけではなく、そして③以降(メインストリーム市場)に受け入れられないと将来的にビジネスとして拡大が出来ない。

■第3章 Dデー

Dデーとは1944年6月6日に連合軍がノルマンディーに上陸した事を例え、どうやってメインストリーム市場に攻め込んでいくのかをこの章では説明。
ターゲットを絞りまずはニッチな市場を選択した上で、そのエリアに集中的にフォーカスを当てて競合と闘いながら市場を広め、そのマーケットのリーダー的な存在となり、そこを起点にまた次の市場に攻め込むことでアーリーマジョリティでの市場を大きくしていく事が重要と説明。
またターゲットを絞り込むことで、その市場での口コミ効果、リーダーシップ、また自社製品のホールプロダクト(製品そのものだけでなく拡張機能やさらに多くの保管的な機能や外部企業からのサポートサービスなど)を強化することができ、これがアーリーマジョリティへ受け入れられていくことを説明。キャズムを超えた成功事例として皆さんもご存知のセールスフォースドットコムの紹介もあった。

■第4章 攻略地点の決定

新しいセグメントへマーケティングを進めていくにあたって、ハイリスク・ローデータ環境でどのように意思決定を下していくについて、事前情報を元にした直観が重要と説き、ターゲット顧客の特徴づけについて説明。具体的な検討方法についてフロー別に記載しておりシナリオ作りを事例を交えながら説明。

■第5章 部隊の集結

メインストリーム市場への足掛かりに必要となるホールプロダクト(製品そのものだけでなく拡張機能やさらに多くの保管的な機能や外部企業からのサポートサービスなど)の構築する時のポイントについて、自社がやるのか顧客、パートナー、提携企業にサポートしてもらうのかをまずは明確にし、本当に必要な機能を選定(多機能すぎるとプロダクトの維持管理が困難となる)。また自社の商品に関わるすべてのベンダーが便益を受けている状態を作ることがホールプロダクトづくりのカギとなると説明。

■第6章 戦線の見定め

自社の商品のマーケットにおいてあえて競争が生み出された状態を作ることがメインストリーム市場にいる顧客である実利主義者にとっては必要であると説明。その競合相手として①代替手段(顧客の問題解決手段(旧テクノロジー)としての競争相手)と②対抗製品(同種商品(新テクノロジー))の2種類を挙げ、代替手段(広く知られている)が既に存在するマーケットを選択し、対抗製品を味方につけて旧技術では新技術に追いつけないことを知らしめること、またそのためのポジショニングについてのプロセスとステートメントの作成を事例を踏まえながら紹介。

■第7章 作戦の実行

メインストリーム市場の実利主義者が安心できるような販売チャネルと価格設定を行うことについて、まず5パターンの顧客の属性(企業役員、個人、部門管理者、エンジニア、中小企業オーナー)を説明。また価格設定においては競争力に基づく価格設定という事で代替手段と対抗製品の双方と比較した上でホールプロダクトとして顧客課題の解決を提供できるプレミアムを付けることが大切としている。当然ながら協力してもらうチャネルへの報酬を市場を広める段階では考慮し、商品を売りたいチャネルが増えてきた時点で本来のあるべき姿に戻すことと述べている。

■終章 キャズムを越えて

4.特に勉強になった点

キャズムを通して個人的に学びがあり今後、B2B向けのSaaSビジネスに関わる身として大切だと思った点は以下2つのポイントになります。

 ①キャズムの越え方
 ②ホールプロダクト
 ③競争を生み出す

①キャズムの越え方

アーリーアダプターとアーリーマジョリティのそれぞれの特性というモノを正しく理解しないと、同じように事業計画づくりやマーケティングを行っても効果がないという事を認識しました。前職の大企業ではよく見かけたが、すでにマジョリティ向けとなった製品やサービスとはやり方を変えなくてはいけないのだが、過去の延長線上でしかものごとが考えられないため失敗に終わるケースが多い。また話は逸れるがサブスクリプションモデルの事業を立ち上げる際の組織の壁というモノも大企業では崩しがたい存在となっており、結果的に新規事業も実験だけして効果がないので撤退するというケースも見てきた。
現場の社員だけでなく経営層もこのキャズムについての存在を理解しなければならないと痛感した。

②ホールプロダクト

どうしてもハイテク商材や今までにないビジネスモデルを扱う場合はその先進的な技術や、新しい仕組みこそが市場の注目を得て成長していると考えがちだが、それはアーリーアダプターまでの話で、メインストリーム市場における実利主義者が求めていることがホールプロダクトのようなかたちであることが大切という事を気づかされた。またそのためにまずは特定のセグメントでリーダーのポジションを獲得することの重要性という事も理解できた。

③競争を生み出す

競合のないニッチな市場というモノが強みという考え方もあるが、そもそもそこには競争がなく市場を大きく成長させるほどの熱量がないと考えると確か健全な競争というモノが必要という事は非常に納得が出来た。また2つの競争相手(対抗製品、代替手段)を明確にして、それぞれを的確に利用しながら市場を大きくしていく事も大切という事が理解できた。

5.まとめ

今回少し長くなりましたが、本書は事例も多く、具体的なイメージもしやすく意外と読みやすい内容になっているので、皆さんもぜひ手に取ってみてください。自分もさらに読み込んで仕事でアウトプットして、また気づきを得るようなサイクルを回していきたいと思います!
今後もビジネス書を中心にアウトプットしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!

人生の役に立つ記事をかけるようにいろいろな体験や書籍などを通して皆様に生きていくヒントを提供していきたいと思います! よろしくお願いします!