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余寒の怪談手帖 リライト集

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怪談手帖が大好きすぎて〈未満〉も含め、色々な方のリライトをまとめてしまいました。 原作者・余寒様の制作された書籍、「禍話叢書・壱 余寒の怪談帖」「禍話叢書・弐 余寒の怪談帖 二」…
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2024年5月の記事一覧

【禍話リライト】『怪談手帖』より「星泥棒」

「余寒さんの集めたお話って、片親の話がかなり多いですよね?」 聞き取りの席で、F君はいきなりそう言った。 面食らったが、言われてみればその通りである。 僕自身(怪談手帖の筆者 余寒氏)、母子家庭で育ったから、知らず共感して採用が多くなってしまうものか。 或いは、怪異の出現に心理的な不安状態が関係しているとすれば、ある程度は必然的な傾向であるかもしれない。 そんなことを小難しく並び立てていると、F君が苦笑しながら、 「かく言う僕もそうなんですよ。余寒さんと違って一人っ子で

禍話リライト「朧猿(おぼろざる)」【怪談手帖】

「少年自然の家」ではなかったはずだという。 当時Eさんの所属していた子ども会では、前年度まで合宿で使用していた施設が老朽化による建て直しのため借りられなくなったため、その年からの新たな宿泊先を検討していた。 その時に、会員の一人が人伝に探してきてくれたのが、”K”という施設だった。 あまり新しくはないものの、去年までの場所に比べると非常に安価で利用できる、という点が決め手だったそうだ。 「その時点でちょっと怪しいでしょ?今ならもう少しちゃんと調べると思うんだけど…私たちの