【禍話リライト】『怪談手帖』より「きつねの宴席」
職場の先輩で今は定年退職されたAさんが故郷で聞いた話。
彼が生まれた町には、かつてやんごとない御方も逗留したという、由緒正しい旅館があり、そこの女将さんというのが彼の母方の叔母だった。
この叔母さんが話していたのが、きつねに化かされた話だという。
ある時その旅館は新聞社からの紹介で、作家や画家を含めた集団のお客を迎えた。
お得意様からの紹介ということで一階と二階、それぞれで一番いい部屋を開けておき、客に選んでもらう形にしたのだが、一階の間に着いて「以前やんごとのない御一行