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完全に縁の切れてしまった親戚が、一軒だけあるという。 Kさんは母親に連れられて、小学6年生くらいまではよくその親戚の家に遊びに行っていたのだけど、ある日を境にブツッと糸がちぎれるように関係が断たれてしまった。 これはKさんがまだその家で楽しく遊んでいた頃の話であり、関係が断たれたまさに、その日の話。 母親と親戚が話をしている間はいつも、Kさんとその家の子たちは庭のはしっこにある小屋に入れられていた。 小屋は簡素な作りの六畳ほどの広さで、板張りだった。壁三面にも
大学で民俗学をやっていた、Gさんの体験。もう20年も前の話だという。 Gさんはその日、ある地方に出向いていた。資料館巡りや現地調査を終えて、帰ろうとした。帰って提出用のレポートをまとめるのだ。そう考えた。だがこの土地をこのまま離れるのも勿体なく感じた。 行き先もよくわからない電車にふらりと乗り込んだ。気まぐれに全然知らない駅で降りてみよう。大きくて立派な駅では面白くない。しばらく揺られてから、山陰地方の名も知らぬ小さな駅で降りた。 昼の2時。誰もいない、たいそう
友人を、仮にAくんと呼ぼう。 彼とは高校からの付き合いだ。なんとなくウマが合うのでつるんでいた。 Aくんは、学校の帰りによく寄り道をしていた。山に行くのだ。山と言っても家の裏の小山みたいなところで、お決まりの散歩コースを歩く。俺は部活に入っていなかったこともあり、たびたびAくんに付き合っていた。 はじめは散歩コースだったのが、Aくんはだんだん山のなかに入っていくようになった。深く入るわけではなく、すぐ戻れるような道だ。 山に入った俺たちは、ぼーっと木を見たり、蛇に