熊野のサンマ丸干し

サンマ丸干し

サンマ丸干し


サンマを丸ごと塩漬けし、そのまま干して仕上げるのが熊野が生んだ伝統ある「サンマ丸干し」です。
熊野灘で獲れるサンマは脂が少なく、風土、気候が丸干しづくりに適していたことが、熊野地方で丸干しづくりが盛んになったと考えられています。

丸干しは開き干しやみりん干しと違い、素材に刃物を入れないため素材の旨味が外に逃げ出さないので素材の味を丸ごと味わえます。
丸干し製法は干物で最も難しい製法です。塩漬けにして、そのまま干すだけなので誰にでもできますが、素材選びと塩加減が非常に難しく、先人が積み上げてきた知恵と技術が安定した味を作ることを可能にしています。

サンマ丸干しの歴史

サンマ漁は江戸時代に熊野地域で刺網漁が開発され、全国に広がったのが発祥と言われています。
この地域で獲れるサンマは、北から南下してきて適度に脂が抜けています。先人たちが素材と真剣に向き合い、出来上がったのがサンマ丸干しです。
現在はサンマが不漁で見られませんが、熊野の家庭では軒先にサンマを吊るして丸干しにするほど、地域の特産品として親しまれています。

サンマ丸干しの旬

一般的にサンマの旬は9月〜10月ですが、サンマ丸干しは南下してくる脂の抜けたサンマが適しているので、12月〜2月くらいが旬になります。

魚作商店のサンマ丸干し

当社の丸干しは伝統の製法にこだわり、塩のみで仕上げています。
サンマに塩をしてもみ込みます。味をつける、鱗を取る、サンマの水分を抜くために行います。魚から出た水分が混ざり塩水になります。その塩水で当店のベストだと考える時間まで寝かします。

塩漬けにしたサンマを水洗いし干していきます。
通常は乾燥機で仕上げますが、12月から2月末くらいの寒い季節は当店の屋上で天日干しにします。新鹿海岸の綺麗な空気の中で、冷たい風が干物を仕上げてくれます。

熊野で獲れる適度に脂が抜けたサンマを、通常の丸干しよりカチカチに乾燥させる「かんぴんたん」は熊野のソウルフードです。一般的には脂が乗った方が好まれますが、「かんぴんたん」はサンマの持っている水分をかなり抜くため、サンマ本来の旨味が凝縮し噛めば噛むほどサンマの旨味があふれます。「かんぴんたん」は脂が抜けたサンマでしか行えません。

熊野灘で獲れない時は、千葉県産や長崎県産など熊野灘で獲れるサンマに近いものを仕入れるようにしています。

丸干しを食べ慣れていないお客様には北海道や東北の方で獲れる脂の乗ったサンマ丸干しも製造していますので、試しに食べてみたいという方はそちらがおすすめです。
干物の在庫がない場合がありますのでお問い合わせください。

おすすめの食べ方

そのまま焼いて食べるのが一番美味しくいただけると思います。サンマ丸干しは内臓を取らずに仕上げているので、内臓の苦味と一緒に身を食べると、サンマの良さを余すことなく味わえます。
塩味がついているので、そのまま召し上がっていただくのがいいと思いますが、お好みで大根おろし、醤油、ポン酢などと一緒に食べても美味しくいただけます。

お茶漬けにしても、美味しくいただけます。しっかり目に焼いたサンマ丸干しをほぐし、ご飯に乗せてお茶でいただくお茶漬けはシンプルな料理ですが、サンマの旨味がお茶に溶け出し、お口の中がサンマの香りで満たされます。

魚作商店オンラインショップではサンマ丸干しはもちろん、アジ丸干しなどもご用意しています。ご覧ください。
魚作商店オンラインショップ


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