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酒屋、共和国を訪問する。

富士屋のある小出(こいで)のとなりに
伊米ヶ崎(いめがさき)という
地域があります。

そこには
『伊米ヶ崎共和国(いめがさき きょうわこく)』
という独自の地域コミュニティがあります。

共和国の存在を知ったのは
毎週パンを届けてくれる
伊米ヶ崎のパン屋さんから
うちの近所でマルシェがあるよと
教えてもらったことが
きっかけでした。

毎月第4日曜日に、
伊米ヶ崎の公民館で
マルシェと地域食堂が
合同開催されるとのこと。

それを主催しているのが
伊米ヶ崎共和国という
コミュニティだというのです。

酒屋として
地域住民として
小出駅前に暮らすなかで

子どもが減り、お年寄りが増え
地域の行事や
日常の住民同士の関わりが
減っていくことを肌で感じ、

地域に何らかのつながりが
あったほうがいいのでは と思う反面、

何をどうしたらいいか
よくわからずにいた私は

共和国の活動が気になって
行ってみることにしました。



小出駅前からバスで7分、
『虫野下口』で降りて徒歩5分のところに
会場の高陽会館があります。

マルシェは高陽会館の駐車場で開かれていて、
入口で待っていてくれたパン屋さんが
建物内の食堂に案内してくれました。

雨にも関わらず
思ったよりも人が集まっていて、

子どもも大人もご飯をたべたり
宿題をしたりしながら
和気あいあいと過ごしていました。

食堂では
カレーとマカロニサラダとコーヒーゼリーが
300円で食べられました。

全部美味しかった。
クッキーは地元のお菓子屋さん・甘泉堂さんが
無料で提供してくださったそうです。


子どもたちが来場者にコーヒーを配っていて
私にも小さい手がコーヒーを
運んできてくれました。

厨房には調理ボランティアさんが7、8人いて

お話を聞くと
私と同じく外から来ている方もいて
知り合いに誘われて、とか
共和国の活動を参考にしたくて
という方もいました。


片付けを終えて
慰労会に混ぜていただき
みなさんとお話することができました。

ある方のお話では

伊米ヶ崎はもともと農村地域で
作物を作る上で住民同士の協力が
欠かせなかったので
今のコミュニティの下地が
自然にできていった と

それに対して小出駅周辺は商業の街で
よそから入ってくる人も多かった
農村のような住民同士の協力は
生まれにくかった

地域の成り立ちが違うということを
ふまえてその土地にあった
やり方をすることが
大切だということでした。

伊米ヶ崎共和国HPより


伊米ヶ崎共和国が
発足に動き始めたのは9年前、

行政ではそれ以前から
『地域コミュニティ協議会』※
の設立を推し進める動きがあって、
伊米ヶ崎共和国もその流れの中で
生まれたコミュニティとのことです。

※地域コミュニティ協議会 とは
…小・中学校区を基本とする住民同士のつながりや集まりのこと。地域の様々な組織(自治会、PTA、老人会、民生・児童委員、消防団など)がともに協力して、地域をより良くするために活動していきます。


一方、小出駅前には
コミュニティ協議会がありません。

私自身は
地域に何らかのつながりが
あったほうがいいと思う反面、

自分自身のできることに限りがあったり

協議会をつくることに対して
後ろ向きな意見が
多く聞かれたりするなかで

小出駅前でコミュニティ協議会をつくる、
それが本当に必要なのか
本当に実現できるのか
それを同じ地域の人に
どう説明するのか

自分の中でも
説明をつけられずにいました。

ですが、
このような考えはすべて
コミュニティ協議会という
枠に地域をはめようとしていたのだと

そうではなく
この地域に
コミュニティ協議会という
かたちがあっているのか、

どのようなやり方が
この地域にとって
ここに住んでいる人にとって
心地よいのか

地域の成り立ちと現状をもとに
これからを考えていくことが
必要なのだと
その方のお話から気付かされました。


また、
地域食堂の中心的な存在の方にも
お話を聞くことができました。

旦那さんを亡くし
ひとり暮らしになって
地域のつながりの必要性を
より強く感じたと
話していました。

誰もが年をとって
病気や障害を抱えたり
大切な人を失ったりする

その中で
地域コミュニティは
人間関係の保険のような、
所属を失ったときの 砦(とりで)のような、
役割を担うのだと思いました。

コミュニティ協議会という形でなくても
所属感を得られるような仕組み
何らかの形でつながっているという感覚を
得られるものがあれば
いいのかもしれないとも思いました。


そして共和国のトップ、
大統領ともお会いすることができました。
(実際に名刺にも大統領と肩書きがある)

「共和国の発足から九年、

山あり谷ありで
人間関係のネットワークを
つくってきた

まずは
地域住民が
何を必要としているか
何をしたいのか に耳を傾ける

それを活動の軸とすることで
一人ひとりが主体的に参加できる

やらされている感を抱かせない

来るもの拒まず去る者追わず

去り際の言葉にも耳を傾け
次に活かすこと

なによりも
自らが楽しみ継続すること」

このようなことを
教えていただきました。

地域の一員として
なにができるんだろう
と模索している中で

ひとつのお手本を見つけたような
気持ちでした。

一方で
去る者追わずという
言葉が残りました。

コミュニティに参加できない人、
ここにいない人が
いるんだということ

全ての人を包むような
コミュニティは難しい

綺麗事ばかりではないと

ゆるく繋がり続ける
ということの
大変さを思いました。


「焦らないでやっていけばいい」と
皆さんが声をかけてくださいました。

いろいろな立場からの
お話が聞けて
すごく面白かったです。

今回お話を伺って
新たな疑問も出てきました。

またお話を聞きにいきたいと思います。

伊米ヶ崎共和国の皆さん、
本当にありがとうございました。


伊米ヶ崎共和国のホームページ
https://imegasakikyowakoku.net/

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