腹痛と暗黒の狭間で
目覚めたときの雰囲気で、「あ、今日はイマイチだな」と思う日がある。今日はそんな日だった。
みるみるうちに黒い雲が立ち込めて、体も頭も重くなる。まいったなあと思いながら、睡眠不足でもないのに椅子の背もたれに身を預けてまどろんだ。
ぱちりと目を開ける。30分も経っていない。寝て起きてもやっぱりダメで、はたと「ああ、PMSの時期なのか」と思い至る。たぶん、だけれど。
たいがいメンタルが激しめに上がったり下がったりしている人間だから、PMSのせいにしていいのかはわからない。だけど、せいにしておこうと思った。そうじゃなきゃやってられないくらい、原因不明の絶望感に突き落とされていた。
午後になり、鈍痛が走る。出産してから、生理前に必ず下腹部が痛むようになった。ああ、やっぱりPMS由来の不調なのだなあとおなかを押さえながら声に出さず呻く。
「ホルモンバランスも、スケジュールに加味しておかないといけないのかあ」
昔読んだマンガに出てきたセリフを、ふと思い出す。ヒロインは確か自営業だった。ああ、そうなのかもしれないなあと思いながら、渦巻き誘う暗黒面とキリキリ痛む下腹部に耐える。
あまりにも暗いところに落ち込んでいるときに書いた文章は、それがたとえ熱を帯びない解説文であったとしても、質が落ちると感じる。書いているときの集中力がそもそも異なるから、きっと欠けた部分がでてきてしまうのでは、と思っている。そして、それがとても怖い。
せめてきちんと定期的に訪れるのであれば対策も取れるのだけれど、前後にずれるからなかなかどうしてむずかしい。
常に一定のパフォーマンスが必要とされる仕事や、問答無用で出社せねばならない仕事に就く女性たちはすごいなあと思う。ホルモンに振り回される幅を考えると、女性は大きなハンデを抱えているなあとも。(もちろん振り幅に個人差はあるけれど)
PMS由来の落ち込みは、時とともに過ぎ去る。それがわかっているから耐え忍ぶけれど、なんだかだんだん症状がひどくなっていっているようで、いやだなあと思う。そして、不安だ。頭の中を別の何かに侵食されている気がして。
クリアな頭で書きたい。そう思いながら、メンタル不調の原因にたんぱく質不足やら鉄不足やらがあると聞いて以来飲み始めたプロテインを飲んだ。効果があるのかはわからないけれど、プラシーボ効果くらいはあってほしい。
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