不安定な土壌
ふわっと風に包まれるように、不安感に飲み込まれそうになることがある。
原因があるときもあるけれど、特にないことも多い。不安感は天気が崩れる直前の生温い風のように忍び寄り、わたしを覆い隠すように包む。
本格的に飲み込まれてしまうと思考が麻痺してしまうから、空元気を装ってみたり、わざと多忙にしてみたりする。効果は微妙。
理由はわからないのだけれど、心のどこかで、本当のわたしは誰にも好かれないのだろうという思いがずっとある。失礼な話だ。少なくとも、仲良くしてくれている友達はいるのだから。
それでも、その思いは消えない。だから、いざ悪意を向けられると、「やっぱりね」と心が囁く。
何もできないという思いもずっとへばりついているし、口が立つだけの人間だと思っている。「できるはず、やれるはず」と思う自分はどこか薄っぺらで、だからひとつの失敗であっさりわたしは吹き飛んでしまう。
吹き飛ぶくらいに安定感がないくせに意志だけはあるものだから、厄介なやつだなあとも思う。
基本的に人が好きなのだけれど、ときどき「ただの綺麗事を言っているだけなのでは」と疑いたくなる自分もいる。
自分のことが、中身のないぺらっぺらの人間に思えて仕方がなくなるとき、風がわたしを包む。救いではない。けれども、救いなのかもしれない。
気が狂いそうなほどの孤独感と、吐き気がするほどの自己嫌悪、自分への疑心。
土壌が不安定なものだから、その上に立つわたしが簡単に吹き飛びそうになるのは、当たり前なのだろう。
土壌の改造工事の方法を、わたしはまだ見つけられないままだ。
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