見出し画像

グレーのグラデーションを許すこと

スマホがあれば、(時におかしなことになるときもあれど)最短ルートをいつでもどこでも調べられるようになった。効率的なことが是とされて、すぐ得られる答えがもてはやされている。

長い文章を読まない人が増えているといわれ、欲している答えをいの一番に書くことが推奨される。結論しか読まれないから、はじめに答えがわからないと離脱されるから。何なら見出しで答えを述べる。現代人は忙しいから。

ただ冗長なものや蛇足だらけのものは、わたしも好まない。だけど、何でもとにかくすぐに答えを欲しがることはない。むしろ、それって危険では?と思っている。二択で進む診断テストをしているわけじゃないのだから。

言い切ることばかりが是ではないし、白黒つけずグレーを選ぶことがどっちつかずだとか優柔不断だとは限らない。すべては善悪に分けられないし、揺らぎがあるからこその味わい深さもある。

人は楽な方に流されていきやすいらしい。「楽」でいえば、結論を先延ばしにせず答えをはっきり決めてしまう方が楽なように思う。白なら白、黒なら黒。これは正義で、あれは悪。決めてしまえば、それ以上考えるエネルギーを割かずに済む。

これを「楽だ」と感じるのであれば、なおのこと「すぐに答えを出さない」判断をすることが大切なように思う。考える手間を省かないことで、考える筋力が養われるんじゃないかなあ。

誰かの白黒判断に乗っかるのは楽だ。与えられた答えを受け取るのは、考えるエネルギーをほぼ使わずに済む。脊髄反射は、そこで完結させられる。

問題を先送りしすぎるのも、それはそれで雪だるま式に大変なことになるケースもあるから、全部を熟考するのがベストなわけでもない。ただ、あえて今すぐに答えを言い切らないことも、同時に大切にしたい。グレーのグラデーションを許すことが、生きやすさにつながるのだと思うから。

お読みいただきありがとうございます。サポートいただけました暁には、金銭に直結しない創作・書きたいことを書き続ける励みにさせていただきます。