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個性の薄まりを食い止める人

実家帰省、1日目。姪っ子を愛でたあと、子どもたちを義実家に送り届け、友人と焼肉へ。

小学校からの付き合いの彼女たちは、東京在住。ふだんから時々遊んでいるため、帰省した貴重な機会に会おう、というわけではなかった。母に、「あっちでもこっちでも遊んで、本当に仲良いなあ」と送り出された。

延々と話すこと6時間。途中で、「どの街もつまらない」という話になった。

実家のあるこの街も、東京も、変わらないチェーン店の数々。正直、あまり大きな違いはない。東京の方がどこもかしこも人だらけで、街としての規模が大きいくらいだろうか。

「“この街だからこそ”がないよね」という話になり、「だからこそ、“この街だからこそ”がある場所に住みたい」という結論に至った。

本当に、今は東京でも大阪でも、大体の店はある(と感じる)。出店時期はずれ込むことがあるけれど、「どうしてもこの新店が」といったこだわりがないタイプの人間からすると、「いずれオープンする」店が多い時点でまったく問題ではないのだ。

似たり寄ったりな街は、個性が薄まっておもしろくない。「ここに住む」理由にはならないなあ、と思う。別に便利だから住んでいるけれど、だからといって積極的に選んだわけではない、というか。別にどこでもいい、というか。

どこかに行くとき、個人店など「ここだからある」場所を好むようになった。その傾向は年々増している。そして、「また来たいなあ」と思う場所の共通点は、場所の素敵さよりも魅力的な人だったりする。

宿泊所のオーナーだったり、カフェのマスターだったり。「ここに行けばこの人に会える」のは、その場所に何度でも行きたくなる理由になる。そして、そんな人がたくさんいる場所には住みたいなと思わせる力があるんだなあ。

均一化されるにつれ、利便性の向上と相反して薄まっていく街の個性。

だからこそ、「いいな」と思える場所をひとつでも多く見つけられたら嬉しいし、見つけていく姿勢を保ちつづけたい。好きな場所が増えることは、単純に楽しみが増えることだと思うから。

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