過ぎゆく時間
何となく気ぜわしいのは、今年が終わる感覚がしているからだ。
正確には9月が終わるだけなのだけれど、毎年10月になると、「今年もあと2ヶ月になりました」という言葉を見聞きするから、わたしの中では年末に限りなく近い。
この一年で、何かを変えられただろうか。前に進めているのだろうか。そんなことを考える。
変わりゆくものに怖さと不安を感じるくせに、自分が変わらないままあり続けることに対しては、強い恐怖感を覚えてしまう。
よく言えば「成長意欲がある」のだろうけれど、実際にはそんないいものではない。泳ぎをやめたら死ぬマグロみたいなものだ。ただ、立ち止まることが怖いだけだ。
自分に対して、健全な自信がない。「まだダメだ」「大丈夫なのか不安だ」と、すぐに弱気が顔を出す。
もういい年だというのに、大人になった気がしなくて、実年齢とのギャップに打ち震えている。このまま死ぬまでいくんじゃないかと思うと、あまりにも未熟すぎて怖くなる。「こんなんで大丈夫なの?」と思っては、ぱくりと口を開けた不安に飲み込まれそうになる。
それなのに、時間は年々非常なほど早まるばかり。この間年が明けたと思ったのに、もう10月。感覚と実際の時の流れのギャップについていけずに、くらくらする。
2020年には、結婚して10年を迎える。そのときには次男も小学生だ。やっぱり実感がもてなくて、その事実にくらくらする。
昔は、1日にもっと重みがあった。1ヶ月、1年は大きな単位だった。今では、しがみついていなければ、あっさりと時間が過ぎ去ってしまう。置いてけぼりを食らってしまう。それが怖くて、わたしは全力疾走して時間についていこうとしてしまう。息が切れてしまいそうになるのも、お構いなしで。
成長や変化をしていたいのは、過ぎた時間の中身を実感したいからなのだろう。過ぎ去ってしまった時間を無為に過ごしたわけではないことを、しっかり認識していたくなってしまうのだ。
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