愚かしい羨望
ものを書く中で、ぱっと目を引く何かがある人をいいなあと思ってしまうことがある。
それは、決して本人にとっていいものとは限らない。不幸な過去とか、生きづらい障がいや病気なども、名前がつけられるものは目を引くから。
ものを書く上で、そうしたものは目を引くひとつでしかないことはわかっている。結局最後は書いたものがすべてだ。「何か」なんていうものはただのラベルに過ぎない。そのことはわかっている。
……だけど、「はじめの一歩」の理由になりえるのも、やっぱり事実だろう。ラベルは線の向こう側に行けるチケットの一枚だ。少なくとも、本人が活かそうと思えば。
不健全な精神状態のときは、自分にも何かがないかと思ってしまう。馬鹿らしい。わたしが向こう側に行けないのは、何かがないからではなくて、単純に才能や実力がないからなのに。
情けないし、格好悪いし、みっともないし、くだらない。
蠢く汚い感情は、苦しさしか生まない。それでも、ふとしたときに繰り返し思ってしまうのも、どうしたって事実だ。
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