Elmar 50mm F/3.5を当時の資料で見る!
どうも、うにょーん(@dictator_unyoon)です。さて今回はLeitzの名レンズElmar 50mm F/3.5を当時のパンフレット等から見ていこうと思います。
今回使った資料
GENERAL CATALOGUE FOR THE PHOTOGRAPHIC TRADE
写真屋さん向けの総合カタログです。Leicaの紙モノ資料ではそこそこ希少なものだと思います。私が持っているのは1955年版です。
Leica LENSES
タイトルそのままにLeicaのレンズについて紹介するカタログです。恐らく1950年代後半の印刷だと思われます。
Leitz Leica camera
1931年の消費者向けLeicaカタログです。こちらはオリジナル版ではなく様々な一次資料を複製しているHove Booksによって印刷された複製ペーパーバックです。
INSTRUCTIONS For Models -Standard,IIIa &250 and Accessories
1935年のLeica sstandard(日本ではアメリカでの名称である「C型」の方が有名) IIIa及びLeica 250、及び対応アクセサリーの取り扱い説明書です。こちらはオリジナル版ではなく様々な一次資料を複製しているHove Booksによって印刷された複製ペーパーバックです。
様々な資料からElmar 50mm F/3.5を見る!!
それでは資料からElmar 50mm F/3.5を見てましょう。すべて英語ですので私、うにょーんが真心込めて素人邦訳しておきました。
The Standard ”Leica” Lens. (1931年)
「Leica」の標準レンズ
「Elmar」アナスチグマート 5cm F/3.5 レンズ
私たちが導入したElmar 5cm F/3.5 アナスチグマートレンズは、Leicaカメラ向けに特別に計算されました。このレンズは後玉に張り合わせレンズを配置した非対称トリプレット構成であり、48°の画角内において各収差が非常に高いレベルで補正されています。特にコマ収差や画像の歪みを完全に補正しており、最短撮影距離から無限遠まで非点収差及び湾曲もほとんどありません。
The Standard Lens "Leitz-Elmar" F/3.5, 5cm (1935年)
標準レンズ「Leitz-Elmar」5cm F/3.5
好適な焦点距離と口径比で設計されたこのレンズは、135ネガフィルムを使用した撮影に最も適した汎用レンズであり、後続のレンズによって取って代わられることはありません。なぜなら、このレンズはボケ量が少なく被写界深度が深い為、空間を余すところ無く詳細なディテールを伴って描写できるからです。したがって、これは常に多くのアマチュア写真家にとって最も理想的なレンズとなります。
「Leitz-Elmar」5cmレンズの鏡胴は、撮影時に引き出して右に回転(時計回り)させてバヨネットマウントでロックします。カメラを使用しないときは、鏡胴を左に回す事でカメラ本体に押し込むことができます。
Elmar f/3.5 50mm (1950年代後半)
Leicaの開発初期に50mmのElmarレンズが登場した際、それは世間に大評判を巻き起こしました。光学設計の傑作は、顕微鏡の設計及び作成という高い精度を要求される作業に慣れたメーカーからしか生まれないものです。Elmarは最も使用される標準レンズであり、光学品質においてそのクラスで並ぶものはありません。その優れた色補正は、カラー撮影にも適しています。アマチュアでも専門家でも、正確な結果と最高のディテール表現が求められ、かつ高速シャッターを切る必要の無い通常撮影においてこのレンズが好まれます。Elmarの高い解像度は、マクロ撮影、複写、およびその他の技術的な写真撮影に理想的です。
LEITZ ELMAR f/3.5 50mm (1955年)
伸縮可能な鏡胴を備えた、アマチュア写真、コピー作業、拡大などあらゆる分野における汎用的な標準レンズです。
画角 45° クロームメッキ
まとめ
栄光の30年代から陳腐化進む50年代
Elmarの最盛期は1930年代と言えるでしょう。これまでに類を見ない小型カメラLeica、これに付く専用の高性能アナスチグマートレンズという位置づけで発表されたElmar 50mm F/3.5でしたが、時代が進むにつれてSummar(1933)、Summitar(1939)、Summarit(1949)、Summicron(1954)と高性能レンズが発表されそのスペックは陳腐化していくことになります。
消費者向けのカタログであるLeica LENSESには高い解像度を活かしてマクロ撮影や接写等に使える点をアピールしていますが、Leitzの本心はカメラ販売店に向けたGENERAL CATALOGUE FOR THE PHOTOGRAPHIC TRADEでの扱いが全てでしょう。
性能が陳腐化するElmarでしたが、LeitzがElmarをディスコンにする事はありませんでした。なぜなら、Elmarはその解像力の高さと余裕のある設計からLeitz純正の接写、複写アクセサリーなどで広く用いられており、LTMの高いシステム性に多大な貢献をしていたからです。
1950年代後半、Leitzの主力は名機と名高いM3を筆頭とするMマウントシステムに移行していきます。Leica A型からiiifまで、約半世紀に渡って改良されつつ最後までLeicaスクリューマウントシステムを支える存在。それがElmar50mm F/3.5だったのです。
余談ですが、Elmar 5cm F/3.5は絞り環や鏡銅設計などが改良された上でMマウントでも少数(約13,000本)が生産されていました。このnoteを読んで「Elmarが欲しくなったけど絞り操作がなぁ…」と思った方、是非使い易くなったMマウントのElmar 5cm F/3.5を検討してみてください*˙︶˙*)ノ"📸
Tripletの名玉はきっとあなたの目になる事でしょう。
長いnoteでしたがお読み頂きありがとうございました。次はSummicron 50mm 1stなんかでやろうと思っていますが予定は未定です。
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