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ビギナーズラックという沼⑤

コロナ禍の中、初めてのネット投票で万馬券を的中させた宝塚記念2020。

そこから始まった週末の競馬生活。
次第に勝ち逃げすることが出来なくなっていく。当たり前のように訪れたスランプ。

そんなスランプ中に遭遇した「一発逆転ファイナルレース」の存在。

それまで競馬は週末に開催されるものだと認知していたのだったが、週末以外も競馬は開催されていることを知る。
それが地方競馬というものだった。

毎日のように様々な会場で開催されている地方競馬は、朝10時頃から夜9時前までひっきりなしにレースが始まる。

中央競馬なら人気馬が絡んだ決着でもそれなりの配当は付くが、地方競馬になると様子は違う。
売り上げが少ないからだ。

そうなると中穴、場合によっては大穴の馬を選び、一発を期待した単勝、複勝のみに大きく賭けるとか、1着から3着までを順番通りに当てる3連単で勝負とか、今まで以上に極端な賭け方を始めてしまったのだ。

当たればデカイ、負ければ地獄。

何のことはない。
中央競馬がスランプだからと地方競馬を始めたら朝から晩まで賭け続ける日もあるわけで、始めた当初はやたらと大穴の万馬券祭りだったのが嘘のように、的中率も回収率もどんどん下がっていった。
数打ちゃ当たるの反対の現象が起こり始める。

何故これほどまで刹那的に競馬ばかりしていたのか。
かなり前のことになるけど、当時のnoteに書いていたことを思い出す。

ケラトアカントーマという謎の皮膚腫瘍ができてしまい、がんセンターに通っていた。
痛みと不安が消えることなく襲いかかり、日々が辛すぎた時期と重なっている。

コロナ禍で、もし入院なんてことになっても家族とは面会はできない状況だった。

幸いなことにこの病気は寛解という結果になり、日常生活を取り戻せたかに思えたが、生と死が行き交うがんセンターという場所にしばらく通った経験は心を硬くしてしまったようだった。

人間いつ死ぬかも知れぬのに、なぜ必死に真面目に何かを求めながら生きていく必要があるのか?

そんな無気力な感情が拭いきれず、ただひたすら何もかもが別にどうなってもいいじゃないかとすら思えてきて、今振り返っても結構深刻な精神の不良具合だったのだと思う。

きっかけは些細なことでも、取り憑かれるように、何かに依存してしまうこと。
何と容易いことよ。
真っ逆さまに暗闇にハマっていくようだったが、普段通りに家事をし、ご飯を作り、仕事もサボらず、再開した書道の稽古場に通うのは続けていた。

しかしどこか虚ろな状態だったのだと思う。

まさかの人身事故をおこしてしまった。
免許取得から約30年。
ゴールド免許歴20年を経過し、無事故だった自分が、死角に入っていたとはいえ、自転車に乗った人と接触してしまったのだ。

カシャンという小さな音が聞こえて、車を停車して外に出てみると、自転車と被害者の方が倒れていて、周りに人が集まり、大丈夫ですか!?という声かけをしてくださっているのが目に飛び込んできた。

大変なことになった。

⭐︎心や体が弱っている時ほど、こうして次々に良くないことが起きてしまうのだなと思います。
「人生は上り坂、下り坂、魔の坂、そう、まさか!があるものです。」
結婚式の時、挨拶してくださった方がいましたが、月並みなスピーチなどではなかったのだな。

「長い人生、色々な出来事に遭遇するだろうけど、しっかり乗り越えていきなさいね。」という人生の先輩からの有難いエールだったのだと今の自分なら素直に受け取れる。

#夕刊uni
#エッセイ
#競馬
#ギャンブル















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