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詩ことばの森⑲「わたしの歩みは」

わたしは旅が好きです。有名な観光地もよいですが、人に知られることのない小さな、どこか懐かしい風景に魅力を感じます。かつては難所であった古い峠のような坂道を歩くと、ふと古い時代の旅姿を想像したりして、歴史の世界に生きているような感じさえします。昔から詩人は旅をしましたが、わたしも、このまま歩きつづけて、歴史の細道をたどりながら、詩の言葉をさがし続けているのかもしれません。

わたしの歩みは

どうしてのぼりつづけるのだろう
湿った草木のあいだには 
夏の闇が息をひそめて
わたしをみつめている

息を切らし 汗をながしながら
どうして足を止めないのだろう
先のみえない せまい石段が
どこまでつづくのかさえ 
知らないというのに

でも ほんとうは
知っているのかもしれない
この道が やがて
頂上にたどり着くであろうことを
それが どんな場所かは わからなくとも
わたしの歩みは とまることを
いつかは そこで 

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