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詩ことばの森(63)「おかしの味」

おかしの味

おいしいおかしだよ
と   きみがいった
甘いもの好きなひとだから
と  ぼくにもすすめながら
きみは   おいしそうに
口をうごかしている

甘いものも好きだけど
辛いものもすきなんだぜ
ふーん   そうなんだ
けげんな顔で
きみは   ぼくををみている

もうずいぶん
長いつきあいだけど
知らないことって
あるものだな
そんな顔を
ふたりして並べていた

空は澄んだ青空だった
いつのまに
こんな冬空になったのだろう
ぼくらが出会って
何度目の冬だろうか

きみがすすめてくれた
お菓子は   たしかに甘かった
寒い頬が
少しゆるんだ
満足そうな顔で
きみは   もうひとつ
口にいれた


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