詩ことばの森(177)「空色の花」
空色の花
街をさまよい
小さな花屋をみつけた
店先には小さな花が並んでいた
悲しみの花をひとつ
僕は手にした
花の色は青く澄んでいて
丘の上から ひとりで見た
夕暮れ近くの空の色
憂いの表情で
顔を傾けた花に
僕はなぐさめの言葉も
今は忘れてしまった
あるのは ほんの小さな悲しみひとつ
街はまもなく夜を迎えるだろう
小さな花屋は小さな花たちとともに
やがて眠りにつくだろう
僕はふたたび歩きだそう
空色の悲しみを胸にしまって
(森雪拾)
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