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詩ことばの森(202)「ある日の君は」

ある日の君は

ある日の君は
小さな町の教会に
見知らぬ人たちとささやかな祈りを捧げた

空は曇ったまま
雨さえも降りだして

今朝は足をひきずりながら
明日の不安を口にするふりをして
濁った頭にあざやかな
金木犀が咲いていた空
わたしたちの至らなさも
つまらないくらい悲しい罪も
風雨に散ってしまう
どうしようもなく佇む
汚れていた道に

わかれぎわに 君が口にしたこと
忘れてしまうだろう 僕の記憶から
消えてしまうだろう 幻なのだから

(森雪拾)

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