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詩ことばの森 森 雪拾(もり ゆきひろ)

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複雑で変化の激しい時代ゆえに 優しさと癒やしの詩の世界を伝えていければと思います
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2024年3月の記事一覧

詩ことばの森(136)「水鳥の夢」

水鳥の夢 淡い魂の香り あるいは薔薇の感触 夢に浮遊する 蛇行する河の上に 声にならないコ…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(135)「岬」

岬 葬り去られた季節 まるでパーフェクトな兵卒 その誇り その名誉 彼の紅潮した頬を 冷た…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
49

詩ことばの森(133)「幻の朝」

幻の朝 朝に訪れた 木々の静寂さに 立ちどまり 耳を澄ましていた 過ごしてきた時の すべては…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
51

詩ことばの森(132)「まだ見ぬ花」

まだ見ぬ花 僕は雨の中を君の行方を見つめていた 列車が通り過ぎたあとの静寂さに 残ったもの…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
54

詩ことばの森(131)「退避行」

退避行 戦いの史跡に夕暮れの鐘の音 鳥達は悲しい飛翔おこなう 虚無僧のマスクから滴る 硝子…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(131)「終焉の宴」

終焉の宴 繰り返す言葉 の反復がわたしだ 例えば 草原に仰向けに倒れた 棍棒 あるいは打…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(130)「思念のブルー」

思念のブルー 拳をひらく 蘇る記憶 あるいは春のブルー 川沿いの道を 穏やかな時間の流れ 背の高い葦たちが せめぎ合う川の岸辺 一人の橋を渡っていく 見ているとしたらそれは わたしの思念にすぎない 詩人はどこにいるというのか 秘められた情熱は 彼らの言葉から宿されたもの 死してなお生きつづける 崖に大河の名残をあらわすように 彼らのひとりが刻んで去った詩 自由に羽ばたく鳥のたちが 岸辺の土となって消えていく夕べ 白い水面に宿る影たちは 憂鬱を分かち合いながら踊る魂 書い

詩ことばの森(129)「静寂の夜」

静寂の夜 白い孤独さえも 闇に溶けてしまうのか 静寂さにいたたまれぬまま 花は身をよじらせ…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(128)「春の嵐」

春の嵐 春の嵐がかけぬけていく けやきの大木をふるわせて かつては木の下に 産土の神がまつ…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(127)「忘却の夜」

忘却の夜 目を閉じる なにかが光る ふるえながら あれは きみだったのか まっすぐな道だった …

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(126)「魂の片鱗」

魂の片鱗 ふるえる魂の片鱗が残り 褐色の草原も朽ちていった日 彼らの道は青く霞んでいた あ…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(125)「湾の見える丘で

湾の見える丘で いびつな湾の見える丘へ 風変わりな生き物がうごめく その不思議な臭いと形 …

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(124)「追憶の森」

追憶の森 かつては深い池があった場所で 獣の足音が消えた水辺の幻 森の奥では褐色にふるえて…

UNWIND&KOMOREBI
3か月前
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詩ことばの森(123)「影たちの森」

影たちの森 水辺にたちのぼる影たちが 木々の幻影が 生み出された過去世 あるいは 冬の名残 わたしたちの歩いた森に わずかな雪 銀色の錆びた匙 重い口から 枯れた枝葉から 落ちていく ことばの数多に 薄日が眠たげな 瞼をあける (森雪拾)