まかぎ祭参加曲歌詞分析
unuiと申します
今回は2021年12月26日にニコニコ動画内で開催されたイラスト統一オリジナル曲投稿企画「まかぎ祭」について、参加作品の歌詞分析をする記事を書きたいと思います。
まかぎ祭とは
YouTube中心にボカロP対談などを企画されている酩酊堂さん主催の、1枚の絵からみんなそれぞれ思い思いのオリジナル曲を作って一斉に公開しようという企画です。12月26日の24時間の間に206曲もの参加がありました（フライング投稿が1曲あり今回分析には加えました）。ボカロ限定ではなかったため作者本人などが歌唱した曲もありました。
絵を描かれたのはまかぎさんでその絵はこちらです。
参加曲のマイリストはこちらですのでぜひお気に入りの曲を探してみてください。
参加曲の傾向
誰が歌ったかなど曲の分析について2号機/世界電力さんのこちらの記事が
よくまとまっているのでこちらも併せて見ることをお勧めします。
絵が"雪がちらつく開けた場所で決して笑顔とは言えない表情の少女がどこかを見つめている"というものだったので、切ない方向の冬曲が目立ちました。しかし中には少女がコタツを消し忘れて出かけたことを悔いるコミカルな内容のハンさんの「こたつ消し忘れた」や、まかぎさんの絵が素晴らしいので額に入れて飾るという内容のおにゅうさんの「#まかぎ祭」など本当に多種多様なものがありました。
タイトルについても多様でほとんど被りがありませんでしたが唯一被ったのがonsensuki(シンナイコウジ)さんと芥田レンリさんがそれぞれ採用された「六花」でした。
同年に2月と11月に行われた「ネタ曲投稿祭」及び8月に行われた「曲名統一祭」の参加者とどれだけ被っているかも調べてみました。
ネタ曲投稿祭にも参加されていたのは207組中93組
曲名統一祭にも参加されていたのは207組中49組
両方に参加されていたのはそのうち31組
参加者の53.6％にあたる111組の方がどちらかの企画にも参加していたことになります。
歌詞分析の目的
①まかぎ祭をより広くたくさんの方により深く楽しんでもらう手助けをする
②具体的なところまで語られることがわりと少ない歌詞にもスポットを当てる
③この記事を見て良いなと思った人に自分の曲も聴いてもらう
③は余談として②については歌詞分析をしながら歌詞でこんな凄く面白いことをしているのにあまり言及されていないなというのを見つけたりしたので色々紹介していけたらと思っています。
今回歌詞分類でない理由
私は毎年8月に行われている曲名統一祭で歌詞分類の記事を勝手に書かせていただいてます。今回も同じことをやってみようかなと思いましたが大きく2つの理由で断念して"分類"ではなく"分析"という形にしました。1つ目の理由が曲数の増加。単純に135でも大変だったのに207に増えてめっちゃ大変だなってお話。2つ目が性質の違い。曲名統一だとある程度方向が絞られるため分類することが可能でしたが、絵から曲を作る場合は絵が持つ様々な要素のうちどれを選ぶか、そしてそれをどの方向で作るかというのが複雑に絡み合っており、曲名統一の時より様々な傾向がバラけるように感じました。なので分類するにしても主観に頼る割合が増えてしまい、多くの人が納得できるまとめが作れないだろうなということを感じて分析という形にしました。
歌詞分析の方法
まずは一周目に聴きながら複数の曲がこの要素を絵から連想して歌詞に入れているなと感じたものをリストアップしていきました。こうしてリストアップしていった25の要素について歌詞とタイトルの中で表現されていたらチェックするというのを一曲一曲聴きながら地道にやってデータを収集しました。25の要素は以下の通りです。
絵全体のイメージから連想される要素
「季」冬や12月など季節について表現
「寒」寒いや凍えるなど温度について表現
「雪」雪について表現
「白」白もしくはホワイトと表現
「青」青もしくはブルーと表現
「朝」朝と表現
「夜」夜と表現
「空」空や雲などについて表現
「風」風について表現
「星」星や月などについて表現
「光」光について表現
「町」背景の家並みから町について表現
「灯」背景の街灯から灯りについて表現
少女の見た目から連想される要素
「涙」涙や泣くことについて表現
「息」息や呼吸について表現
「手」手や指について表現
「服」着ている服やポケットについて表現
「髪」髪について表現
少女が持つ雰囲気から連想される要素
「別」別れについて表現
「独」一人であることや孤独について表現
「時」時間について表現
「死」死について表現
「嘘」嘘について表現
「魔」魔法と表現
メタ要素
「メタ」まかぎさんやイラスト統一企画等について表現
要素分析結果
要素を分析した結果がこちらの表になります。
一番多かったのは「寒」で半数以上の116曲で表現が見られました。過半数は1つだけで以下「空」「雪」「白」と続きますが面白いくらいにバラけています。そして同じ組み合わせを選んだ曲は全くなくそれぞれが絵から思い思いの要素を連想して歌詞を作ったことが推察されます。「朝」と「夜」は拮抗して若干「夜」が多い感じ、昼については3曲くらいでみかけた感じでした。具体的に出てきた時刻は午前4時から午前6時に集中していました。
あと数えなかった要素の中では絵の吐く息を煙と解釈したからかタバコを登場させた方も複数いらっしゃいました。一番登場した飲み物はココアを抑えてコーヒーで、一番登場した食べ物は肉まんでしたね。
まかぎ祭指数
せっかくこうやってデータどりをしたので、どの曲がより絵の要素を歌詞に反映させているかを比較ができないかなと思いました。
そこで「まかぎ祭指数」という新たな指標を考えてみました。
算出方法はその曲に含まれる要素それぞれの登場率をそのまま足していきます。例えば「寒」と「空」の要素のみが登場する歌詞だとすると「寒」の登場率56.0と「空」の登場率45.9を足した101.9がまかぎ祭指数となります。
これにより"より多くの人がこの絵から連想して歌詞に反映したいと思った要素をより多く反映させた歌詞が高くなる指数"になることが期待されます。
早速上位20作品のランキングをご覧ください。
上位3作品は25要素中17の要素を歌詞に取り入れていました。
1位のついらくさんの「風花に天は泣けども乙女は奔る」は冬の季語を歌詞にいくつも盛り込んだ作品、2位の凪さんの「花乱声」は涙を"哀を纏った記憶の粒"と表現、3位のonsensuki(シンナイコウジ）さんの「六花」は後述させていただきますが縦読みの仕掛けを盛り込んだ作品と三者三様に歌詞にこだわりを感じた作品で、それぞれが絵から読み取れる要素をできるだけ歌詞に盛り込もうと尽力したことがうかがえます。
逆にインストや歌詞がほとんど無い曲を除いてまかぎ祭指数が0だった作品が稲荷萌さんの「憂悶（ゆうもん）」でした。0ではありましたが少女が歩かなくちゃと決心する感じの紛れもなくこの絵と親和性の高い歌詞で、今回計上した要素が数多ある要素の一部でしかないことを示唆する現象と考えます。
全ランキングが気になる方はこちらを
※追記
まかぎ祭指数と2号機/世界電力さんの再生数データを突き合わせたグラフを作ってみました。
隠れまかぎ探し
歌詞の中にまかぎさんの名前を隠した6作品を紹介します
見逃しているものもあるかもしれませんので他にあったらぜひ教えてください。
「六花」onsensuki(シンナイコウジ）さん
まかぎ祭指数3位のこの曲ですが縦読みで「まかぎねこ」と読める部分が動画で表現されています。
「青春狂死曲」こわどりさん
歌詞の「摩訶不思議な青春が」のところから「マカギ」の文字が浮かび上がる演出が動画で表現されています。
「Immaculate」たむさん
歌詞の「部屋を覆う睡魔 限りない時の中」の所に「まかぎ」さんが隠れています。
他にもう一か所「まかぎ」さんが隠れてたのでぜひ探してみてください。
「拝啓スノーマン」たらあげさん
歌詞の「今限られた時間」の所に「まかぎ」さんが隠れています。
他にも「めいてい」が隠れているのでぜひ探してみてください。
「今、鍵は」大塩杭夢さん
タイトルにすでに隠れてますが歌詞の「今、鍵はポケットの中」に「まかぎ」さんが隠れています。
他に「のみか」さんと「ヒルヒ」さんも歌詞に隠れているのでぜひ探してみてください。
「こんなに深く澄んだ空に」unui
なんで他の人のが見つけられたかというと自分もやってたからでした。
歌詞の「たまたま限られた二度とない日々」のところに「まかぎ」さんが隠れています。
そして実はサビとCメロの所には酩酊堂メンバー全員の名前を隠していたりもします。
その辺については別記事を書きましたので興味あれば。
まとめ
素敵な絵を描かれたまかぎさん、企画をしていただいた酩酊堂の皆様ありがとうございました。そして参加者の皆様お疲れさまでした。
こうやって共通のテーマで作品を作ってお互いに鑑賞しあえる企画って良いなってつくづく思いました。また機会がありましたら参加したいなと思ってますのでよろしくお願いします。
長文を最後まで見ていただきありがとうございます。
以上unuiでした。
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