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忘れられた危機への活動資金

今日は、日本ファンドレイジング協会主催で「#国際協力×#ファンドレイジング」というテーマでディスカッションの録画をしていました。その中で出てきたのは、「忘れられた危機」に対する資金の問題です。メディアで取り上げられるウクライナやガザでの危機などに資金が集中し、世界の他の危機に対する資金が激減しています。

先週19日、日本政府はウクライナに158億円の無償資金協力(つまり贈与)を提供しました。内容は、(1)地雷・不発弾対策、(2)電力・エネルギー分野、(3)運輸交通分野、及び(4)官民連携分野での支援。その裏で、世界各国で実施されているNGO向け資金の契約プロセスが、先週突如止まり、次年度に先送りされる団体が出ています。日本政府にとって、世界各国の「忘れられた危機」に対する貧困や保健等の課題の優先度は低く、ウクライナ危機の解決の糸口さえみえないこの時期に、民間企業が参入するウクライナ復興の資金を出す政治的優先度の方が高いということなのかもしれません。

その優先度の低さは、民間資金でも変わりません。24日の時事通信の記事にあったように、ADRA JAPANのウクライナ危機に対する寄付は、2022年4月は1億円を超えていたものの、最近は月60万円になることもあるとのことです。どれだけ注目された危機でも、寄付はすぐに激減していく運命にあります。

次から次へと危機が起こり、危機は消耗されていきます。しかしなぜ危機が起こるのかと言えば、危機が起こる手前の段階において「忘れられた危機」に対する国際社会の関心が低いからでもあります。危機は起こるべきして起こり、当初必要とされていた何十倍もの費用と多くの人命が失われていきます。

寄付収益を増やすことだけを考えれば、注目を浴びる危機に対して、誰よりも早く寄付を募集し、危機を追いかけていくことが、最適解かもしれません。でも、#NGO の存在意義は、人道支援に基本原則に基づいた人道主義や公平性等にあり、「忘れられた危機」にこそ寄り添うことにあります。ここに、NGOの価値が、組織の収益規模や提供した物資の量では決してはかることができない理由の1つがあります。

現在開催中の #FRJ のオンデマンド講義の中の1つに、難民を助ける会(AAR)の「忘れられた危機下の人々を支援するために。寄付集めのコツ大公開」があります。なかなか寄付が集まらないウガンダやカンボジア、ミャンマー等での教育や職業訓練等に対するファンドレイジングをどのように工夫して実施しているかというものです。そのひたむきさに、心が打たれます。

「忘れられた危機」に対してのファンドレイジングに誰も正解を持っていません。だからこそ、引き続き、みんなで正面から議論をしていきたと思っています。

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