糸と針

文章を書く練習で始めました。 お仕事待ってますとか言ってみたいです。

糸と針

文章を書く練習で始めました。 お仕事待ってますとか言ってみたいです。

最近の記事

圧倒的陽

頭の中にあるものを小説として表現したいなという漠然とした気持ちがあって、その為の練習や、と思い始めたこのノート。一年前ぐらいに始めて、一年ぐらい書いてない。自分の決心の弱さに少し笑ってしまいながら、そんなもんかと思ったり、卑下してみたりしつつも、携帯の画面の中では比較的目立つ位置にあるこのアプリに気付かないフリをしてた。卑下した気持ちは曲折を重ねた結果、プライド(良くない方の)を作り上げた。だって、忙しくて書けないんだもん!っていう自己防衛プライド。 そんな人間が久々に書き

    • バルコニー

      木造二階建て、バルコニー付き。当時としてはハイカラな物だったらしい。という事は、今では近所から廃墟とも呼ばれるこのアパートも完成した頃は人々の憧れの住まいだったのかなと思う。ここに住んでいた人もあの時は高給取りばかりだったのだろうか。今となっては1週間先の未来も見えない様な住人ばかりだが。エアコン無し風呂無しという大きな代償を払った住人達は、お釣りとしてこの少し広めのバルコニーを手に入れる。 正直言うと今の自分には、もう少し綺麗で機能的な家を借りるぐらいの財力はある。けれど

      • 温泉に花束を送る計画書

        温泉が好き。体を休め癒してくれる空間である事は勿論だが、家の風呂とは違うあの解放感。それを初対面ながら裸の付き合いになる人達と共有する。人見知りな私でもあの空間は心地よい。お湯の効能はあまり気にした事はないが、周りから肌を褒められる事が多かったのは、そのお陰でだったんだろうなと今になって思う。お湯から出て、喫煙所で吸う一服。そこで先程まではお互いの裸を見せ合っていた世代も環境も違う人と話す事が多かった。色んなことを教えてくれた。温泉は家のすぐ側だったので、気持ちいい体のまます

        • 馬鹿と弱さ

          思い出しただけでむず痒くなる過去。布団の上にいるだけで何も考えていなかったかのに脈略もなくふと思い出し、自分にしか聞こえない奇声をあげ空気を蹴り上げる。   改めて考えてみるとそれは自分の馬鹿や弱さが偶然にもそこに乗り上げ、いや、自分の事なんだからそれは偶然ではなく必然的に露呈した。馬鹿と弱さが俺を殺しに来た。精神的にも社会的にも。それまでの当たり前を失った。でもまぁ、遅かれ早かれ自分は当たり前を失うことになっていただろう。その馬鹿と弱さは僕の欲望が生み出したものなんだから。

        圧倒的陽

          今夜

          群れる事は自己防衛。一つの大きな集合体の中にいれば個々の小ささは気にならないし、各々自分の弱さから目を背けられる。そうしていくといつしか群れることに快感を覚える。その快感は弱さを箱の中に入れ、人には見えない場所に隠し鍵をかける。そして「これが日常だ」と僕達の思考を停止させる。何も考えなくなった僕達は快感がくれた安心感に包まれて余生を過ごす。長い長い余生だが、見えないところにあるだけで弱さは未だあの箱の中にある。僕らはそれに気付けない、気付かない。 久しぶりに地元に戻ってきた

          準、文学

          純文学とは、娯楽よりもその芸術性を追求したもの。読み手のワクワクなど一切考えず(少しは考えもするだろうがそれは置いといて)発信する側は自分の描きたい世界を思うがままに描き抜ける。つまりは真実なのだ。受け取り手がどう捉えようがそれが描きたかった世界で、唯一無二の真実。その真実の中でも名作として扱われるようになったものが純文学として、娯楽として今日まで残ってきた。 真実というものは、時に娯楽になる。時には、恐ろしい真実すら娯楽になる。誰よりも人を愛したが裏切られた。どこにでもあ

          準、文学

          秋の花

          (今日も登場人物の性別は皆さんにお任せしてみます) いつもの道を自転車で走っていると少しの違和感が視界に飛び込んできてブレーキをかけた。向こうの曲がり角のガラス張りのショールームの中に絵が見える。違和感の正体はこれか。昨日までもそこに絵があったがそれとは違うものだ。そういえばここは画廊だった。あの白黒の風景画がここ何年も変わらずに飾ってあるものだったので既に画廊としての役割は終えた空き家だと認識していた。絵に関しては全く無頓着な自分だがあの風景画は好きだった。どことなく祖母

          帯に短し襷に長し

          自分に素直である事は怖い事だと誰かが言う。自分に嘘をついてでも守りたいものがあって、自分に本音を話した瞬間にそれを失う事を知っているんだろう。けれど失うものの価値が大きくなり過ぎると自分に正直でいるなんて不可能だ。 若い頃に始めた事が思った以上に軌道に乗り、沢山の良い人に出会うい、運も味方し、成功者と呼ばれる様になった。昔はお酒を飲みたくても金がなかったが今は大都会の輝き続ける夜景を見下ろしながら毎晩飲める。ちなみにこの酒の値段は若い頃に住んでたアパートの一月の家賃と同じ値段

          帯に短し襷に長し

          色彩

          (登場人物の性別は皆さんにお任せします) 殴られた。 初めて会った人に殴られた。いや、初めて会うっていう言葉は「会う」という単語が入ってる以上、お互いが「はじめましてこんにちは」という気持ちが無いと成立しないのではないだろうか。だからこの場合は、初めて見た人に殴られたとか、未確認飛行物体(人間の拳だと思われる。詳細不明)が僕の頬に衝突とかだろうか。そんな風に変に難しい事を考えながら自分を落ち着かせた。要は恋人と手を繋いで道を歩いていたら、前から歩いて来た男に急に殴られたのだ

          喫煙所の右側

          夜を乗り越えたらまた次の日がやってくる。はじめまして、次の日。会った事ないよね。けど、君によく似た奴を知ってるんだ。君の先代の「昨日」っていう奴。会った事ある?あの人、本当に良い人だったなぁ。また会えるかな。会えると良いな。とにかく一日よろしくね。次の日。あ、名前の襲名はもう済んでるんだね。それじゃあ、よろしく、今日。 そんな風に毎日新しい奴に、はじめましてって言うけど。どいつもこいつも似たような奴らでいい奴らだ。いやほんと、毎日面白い奴らに会えて嬉しい。なんかこう、、楽し

          喫煙所の右側

          喫煙所の左側

          夜を乗り越えたらまた次の日がやってくる。はじめまして、次の日。会った事ないよね。けど、君によく似た奴を知ってるんだ。君の先代の「昨日」っていう奴。会った事ある?あの人、良い奴なんだけど、良い奴止まりっていうか、、まぁいいか、もう2度と会えないし。とにかく一日よろしくな、次の日。あ、名前の襲名はもう済んでるのか。それじゃあ、よろしく、今日。 そんな風に毎日新しい奴に、はじめましてって言うけど。どいつもこいつも似たような奴らでいけすかない。いやほんと、みんな良いやつではあるんだ

          喫煙所の左側

          あえて言葉にするならばそういう事なんです。

          心から溢れ出た感情は頭の中で言語化されるが、口から出る事はない。言語化された感情を、私は頭の中でただひたすらに咀嚼し続ける。噛んで噛んで、味がしなくなってもまだ噛み続ける。そうすると稀に、味わったことのない甘さや苦さが生まれる事がある。少し嬉しかったりもする。誰かに伝える事は無いけれど。 口下手な人、っていつもこんな感じだろう。言葉が頭の中でぐるぐる回り続ける。あまりに溜まり過ぎると吐き出したくなる事もあるが、下手くそなのだ。頭の中で言語化はされているけど、口っていう体のパ

          あえて言葉にするならばそういう事なんです。

          大都会

          7ヶ月前、高校卒業後から働いた会社が潰れた。1年も働く事は無かったが、何かに所属しているという安堵感に包まれていたと、後に気付いた。急に何者でもなくなった。人生って、こんなにも急に未来が見えなくなるんだなと知った。不安しかない。何かにならなきゃ。焦って悩んで、とりあえず、夢を追う若者になる事にした。学生の頃から芸人に対し、面白いだけじゃなくてかっこいい職業だなと、少なからず憧れはあったので、夢を追う若者の選択肢の中からは迷わず芸人を選んだ。芸人になる事で、僕はその肩書きを手に

          大都会

          証明

          過去じゃない、未来でもない 今、この時代、この瞬間 僕が生きていたことを残したかった。 自己顕示欲、自己肯定感 そんなものの為じゃない。 まさに今日、僕は生きてる。 今日は風が気持ち良い。 日当たりの良い公園のベンチに座って る、希望溢れる男女達のすぐ近くでこじんまりと、大きく貧困街。あの公園はあんなに暖かそうなのに、こっちまで陽が入らないからかコンクリートは氷のように冷たい。暖かい日差しの下だと、冷たい風が気持ちよく感じるのかな。こっちだとその風は人々をより苦しめる。

          感情

          2人で来た居酒屋。まだろくに飲みの席の場数を踏んでいる訳でもないのに頼んだ焼酎のロックの、おかげなのか、せいなのか、君の腕のデジタル表示時計に0が並ぶ頃には、2人で手を繋いで夜の交差点を歩いていた。嬉しさと後ろめたさがとても綺麗に混ざり合った、初めての感情。 その日から転がり込んだ、入り浸った彼女の部屋。何故だかそこにいるだけで、街のノイズや夜の闇から守られてる気がした。彼女が家を留守にしていた時でさえ。彼女のベッドの上で僕1人、帰りを待ってる時だって。何かに守られてる気が

          エクレア

          どうしようもない夜はこっそり缶ビール開けよう この1番初めの歌詞が好き。どうしようもない、この言葉に辿り着くまでに、この日は1日苦しんだんだろう。朝から今日も何かを生み出そうとする。今でこそ部屋で1人布団にくるまっているが、携帯で興味もない記事を見続けているが、自分はこんなものじゃないんだ。そんな根拠のない自信という細くて頼りない棒切れが、なんとか僕を支えている。いつも通りの惰性を繰り返して昼が終わる。昨日も使った言い訳を自分で自分を正当化しながら夕日を見る。そして夜になっ

          エクレア