オタクのサブスクへのシフトは起こりえるのか
昨年末に開催された『異次元フェス アイドルマスター★♥︎ラブライブ!歌合戦』は大変盛り上がりました。お互いのコンテンツの魅力に気づいた方も多いでしょうし、運営もお互いのコンテンツの良いところは真似てさらに良いコンテンツ作りに励んでいただければと思います。
ところで『蓮ノ空』運営に言いたいのですが、アイマス運営から何を学んでいるんですかね。
学ぶところはそこじゃねぇ!
『蓮ノ空』楽曲のサブスク配信が遅れていることへの不満について
というわけで何が不満といえば、コンテンツが始まった当初はCDの発売とサブスク配信が同日だったのに、今年に入ってCD発売から1週間後にサブスク配信というふざけた変更をしていることです。
これで割を食うのは「CDを買うが音源はサブスクで聞く」私のような人間である。ミリオンライブみたいにCD発売から1か月後にサブスク配信ではないだけマシかもしれませんが、なんでこんな不利益を被らないといけないのだ。
というか、発売から1ヶ月後なんて配信されてることを忘れてますよ。しかも配信日はCD発売日に設定してるから、最新情報を遡らないと出てこないのでたちが悪い。そこまでしてサブスクで聞かせたくないんですかね。
閑話休題。CD買っているならリッピングして聞けばいいと思われるでしょうが、どうせ1週間待てば配信されるし、そもそも音楽を聞こうと思ったら真っ先にSpotifyを開くから意識しないとCDレコに行かないんですよね。つまり私にとって音楽を聞く=Spotifyを開くという習慣になっているわけです。
だから私としては不満たらたらなわけですが、あまりそういう不満を見ることがないわけです。サービスが低下しているこっちの方がキャストがライブで自我を出すことより明確に問題だよ!
そもそもラブライブのオタクはサブスクで楽曲を聞いているのか問題
主語が大きいのですが、いちおう根拠みたいなものはあるのです。
Spotifyには月間リスナーという数字があります。月間リスナーについてはSpotifyのアーティスト向けページにこのように記載されております。
ざっくり書くとアーティストの曲をSpotifyから聞いたリスナー数ですね。
さて3/9時点でのSpotifyにおけるラブライブシリーズの月間リスナー数は以下の通りです。
μ's:159,008人
Aqours:90,047人
Liella!:62,582人
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会:75,613人
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ:22,287人
これらの数字は蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ名義での月間リスナー数となっています。だから蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブとスリーズブーケはそれぞれ別々にカウントされています。ちなみにスリーズブーケの月間リスナー数は27,014人で蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブより多い。
では同じ日の電音部の月間リスナー数を見てみましょう。
電音部:111,530人
電音部はすべての楽曲を電音部名義にしているのでラブライブシリーズとは事情が異なるのですが(例えば上原歩夢のソロやA・ZU・NAの楽曲にもアーティスト名義に加えて虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会名義で登録していると考えてください)、なんとAquorsよりも月間リスナー数が多い!
という事は電音部もドームツアーができる!
なんて流石に思うわけないので、これはラブライブシリーズの楽曲をサブスクで聞いている人が少ないという事だと思います。だいたいアリーナやドームでライブができるコンテンツやアーティストだったら少なくとも今の2~3倍の月間リスナー数がいないとおかしいと思うんですよね。
例えばリアルアイドルだとこんな感じで、さすがに人気アイドルは6桁が当たり前みたいな感じです。
乃木坂46:644,785人
AKB48:625,953人
ももいろクローバーZ:388,883人
私立恵比寿中学:335,356人
櫻坂46:208,248人
日向坂46:143,706人
ちなみに『プロジェクトセカイ』のユニットはこんな感じでした。
25時、ナイトコードで。:531,131人
ワンダーランズ×ショウタイム:440,132人
Vivid BAD SQUAD:423,924人
MORE MORE JUMP!:285,029人
Leo/need:227,259人
このジャンルは全然追ってなかったのですが、この数字はすごいですね……。
さて日経の調査によると『プロジェクトセカイ』を推しているのは10代~20代の若者とのことなので、もし若者へリーチをするならサブスクの対応は重視しないといけないのではと思います。
また海外へのアプローチを考えたらますますサブスクで聞かれることは重要でしょう。日本語だから世界で聞かれないと思われそうですが、数年前に藤井風『死ぬのがいいわ』が世界中のチャートにランクインしたことを踏まえると日本語だからダメなんてことはないわけで。
アイマスは…ざっと調べたところSHHisの21,026人が最高という時点で話にならないというか……。
オタクはどうしてサブスクで聞かないのか問題
というわけで、ラブライブに限らず二次元コンテンツのオタクはサブスクで聞いてない可能性が大なのですが(プロセカを除く)、理由を考えると複数上げられると思います。
1.推しコンテンツの楽曲以外聞かないから
相互フォローしてるあかさたなさんが私とXでやり取りをした後にnoteに記事を上げていたのですが、
その中にこんな文章があります。
「オタクは『推しが歌ってる所が好き』なだけで、『音楽が好き』なんじゃない」とか酷い揶揄だなぁと思うのですが、思い当たる節しかない。
もっともこれはサブスクとは別の文脈での発言なのですが、このポスト自体が松谷創一郎のYahoo記事に触発されたものだったりする。
さてこの記事に印象的なエピソードがあります。
ラブライブやアイマスのオタクってこういう人が多数だと思うんですよ。だから「CDを買ってリッピングすればいい」とか「サブスク使ってないけど、文句を言わず音源を買えばいいじゃないか」なんて発言が出てくるわけです。
ただ私はラブライブやアイマス以外の音楽も聞くし、電音部がサブスク利用を前提とした展開をしているのでサブスクが無いとやっていけないわけです。あと圧倒的に便利だし。サブスクが無くなったら音楽聞かなくなる自信がある。
2.サブスクで音楽を聞くのは悪だと考えているから
不思議なのは「アイマスはサブスク解禁しろ」と言っている人でも「自分はCDで聞いている」とエクスキューズをする人がちらほらいたことです。別パターンでは「予習をするためにサブスクを使うけど、好きなコンテンツはCDで聞いてます」というのもある。
なんでそんなエクスキューズをする必要があるのかと思いましたが、「サブスクで聞くのはけしからん」と思う人が一定数いると考えれば納得ができるわけです。
数年前にミュージシャンがサブスクの利益が少ないことを訴えたり、日本コロムビアのアイマス担当者が「楽曲の多様性を守るため」サブスクの配信を限定することを言っていたりしていました。
それを請けて「好きなコンテンツの曲はサブスクで聞いてはいけない」空気みたいなものがあるのではと思うのです。オタクなら身銭を切れという理論ですね。
しかしCDを複数枚も買うのは現実的ではないし(ライブ先行シリアルは知らん)、サブスクからの利益が少ないのはそもそもCDと同じ印税で契約しているからではという指摘もあるわけです。
そうするとミュージシャンがやるべきはCDを買ってくれという事ではなくレコード会社と交渉することではないかと思うのです。楽曲の多様性についてはそれを守るのが仕事であって、自分のヘタレっぷりや無能っぷりを美辞麗句で誤魔化すなよとしか言いようがない。
あとCDを買ってるのにサブスクで聞く人がそういう空気に配慮しないといけないのはどうなのかと思うし、結局そういう空気が新規を遠ざけているのではと思ったりします。
サブスクシフトを起こすにはどうしたらいいか考える
ここまで書いてサブスクシフトさせる必要があるのか我ながら疑問だし無理ではと思うのですが、せっかくなので思いついたものを書いてみます。
1.サブスク先行配信にしてCDは後日発売にする
『電音部』がサブスクで配信をしてCDはベストアルバムという形で出していますので、それを真似るというのはどうでしょうか。もっともリリースペースは早くてもいいですが。
「それだとますますCDが売れなくなるではないか」と言われそうですが、だったらCDの単価を上げればいいんですよ。つまりCDはファンアイテムと割り切って、その代わりファンが買いたくなるものにするというわけです。
例えばCDショップに行けば分かりますが、K-POPのCDはプラケースに薄いブックレットなんて造りではなく、パッケージから凝った造りになっているものもあります。こういう造りを参考にするとともにメンバーやキャストの写真やイラスト、ステッカー、ポスターなどを着ければ値段が高くても問題ないと思うのです。
その代わりCDにライブ先行のシリアルを着けるのは廃止した方がいいでしょう。つけた方が利益にはなりますが、チケットが取れなかった時に「高い金を使ったのに望むものが得られない」と思ってコンテンツを追うのを止めてしまう危険性がありますので。
2.運営が既存のファン層を無視して新しいファン層を獲得する
それができれば苦労しないわけですが、CDにこだわる既存のファン層は無視して新しいファン層を獲得して、ファン層ごと変えてしまう方法も考えられます。まぁ「闘う顔をしていない」と言ってトレードをする立浪監督方式ですね。
問題は文句ばかり言っていつまでも居座るファン層をどうするかという事ですが、そういうのは運営がきちんと「お前らは客ではない」と言うべきじゃないかと思うのです。例えばWACKの渡辺淳之介はこんなことをインタビューで言っています。
まぁ大企業が運営する二次元コンテンツと自身の会社が運営するアイドルでは勝手が違うとは思いますが、これくらい言っても良いのではないかと思います。
結局のところ「アイマスはゲームを大事にします」といった数か月後にサ終発表するなど既存のファンも大事にしようとして玉虫色の発言をしてやることが違うから信頼を失ったり、運営が見えるところで発言しないから意図が伝わらないなんてことがあるわけです。
「ラブライブはアニメコンテンツじゃない」とスクールアイドルミュージカルのパンフレットでプロデューサーが発言していたらしいのですが、はっきりと「ラブライブはアニメコンテンツじゃないからアニメだけ求めてる人はいらないです」くらいのことをラブライブデイズで言ってもよかったのではと思うのです。『蓮ノ空』なんて「今後の望む展開にアニメ化と書きました」と嬉々として書く人いたからね。あそこまで手間暇かけたのにアニメを求められたらたまったもんじゃないし、演者だって報われないでしょ(と思ったからアニメだとやろうとしてることは伝わらないですよとスタッフインタビューで言ったのかなぁ。これは邪推だけど)。
まとめ
なんだか話がサブスクからそれてしまいましたが、書いてみると「変化を恐れたり外部に興味がないオタクがガンなのでは」という話になってしまいました。オタクは好きなコンテンツと一緒に歳をとれればそれでいいのかもしれないけど、運営はそうじゃないのだからちゃんと時代に合わせろということです。
さて『学園アイドルマスター』は電音部と同じASOBINOTESなのでサブスク展開については心配していないのですが(ヴイアライヴも電音部と同じくvα-liv名義でソロ曲も登録しているので安心)、これで日和ったらASOBINOTESへの信頼が地に堕ちるのでちゃんとやってほしい。
というか、いい加減サブスク関連の愚痴みたいな文章を書かせないでほしい。2019年から書いてて改善点がまだ出るのはおかしいだろ。しかもハイレゾにしろとかそういう話ではなく、普通に配信しろという内容ですよ。
こちらからは以上です。
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