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パーソンズ美術大学留学記シーズン4 Week5 #283

ThesisとSeminarという二つの授業を受けて日曜日にNew York Zen Centerに通うというサイクルを過ごしていると、あっという間に一週間が過ぎていきます。忙しいながらも自分の興味を深掘りできているので、精神的には充実感がある日々です。

Thesis

先週から引き続きCritical Sharing Sessionが開催中。今週は発表者だったので、卒業制作の進捗報告を行いました。そこでのフィードバックを受けて「Buddhism-inspired ethical guideline for designers(仏教にインスパイアされたデザイナー向けの倫理ガイドライン)」という方向性が浮かび上がってきました。詳細はこちらの記事をご覧ください。


Seminar

今週の課題はweek2以来となる300words程度でのProject Statementの作成でした。授業では前回書いたものと今回書いたものを比較しながら、どこが分かりやすくなったのか、どこをもっと詳しく書くべきなのかを学生同士でアドバイスし合いました。今週の学びをいくつか書いてみます。

どこまでが事実でどこまでが仮説か?

自分の中では確信していることでも、いざ他人に話してみると「なんで?」と聞かれることがあります。私の卒業制作の場合、「仏教とデザインは相性が良い」とか「仏教は倫理ガイドラインとして役立つ」などと自分の直観では思っているのですが、他人からすれば「証拠は?」となるようです。こうした直観が自分の仮説(思い込み)であると気づくことで、より論理的な説明ができるようになっていきます。

何を言うべきで何を言わないべきか?

自分の卒業制作の概要を300wordsにまとめるのは至難の業です。具体的に書きすぎると文字数をすぐにオーバーしてしまいます。だからといって「仏教とデザインをコラボさせる」と言うだけでは伝わらないようです。仏教の中でもどんな教えをピックアップするのか? デザインという言葉が指すのは、UIデザインなのかサービスデザインなのか? もっと解像度の高い言葉選びを求められます。印象的だったのは「briefであることとgeneralであることは違う」という先生の言葉でした。

Convinceしてtrustしてもらう

"Who cares?"という視点を持つようにと何度も言われます。直訳すると「誰が気にするの?」という意味で、「あなたのプロジェクトが重要であると他人が思うべき理由は何か?」という質問に答えられるようにというアドバイスです。このプロセスを「convince(説得)してtrust(信頼、納得)してもらう」とおっしゃっていました。

「そこまでして他人に興味を持ってほしいとは思わない」というのが個人的な感覚なのですが、自分の活動が社会の役に立つものであると説明できるようにしておくことは確かに大事。アカデミアでもビジネスでもお金を集めるには少なからず他人を説得する必要はありますからね。

アメリカと日本の違いと単純化することはできないとは思いますが、アメリカでは同じ価値観を共有していない人にも納得してもらえるようにどこまで言語化できるかが重視されている気がします。この授業ではこの言語化力が鍛えられます。英語でしなければならないのがキツいですが。


まとめ

ようやく卒業制作の方向性と着地の仕方がぼんやりと見えてきたような気がしています。つい先週までは「未だに卒業制作で自分が何をしようとしているのかが明確ではない」なんて書いていたのですから、デザインプロセスは混沌としていますね。来週になったら「何をすればいいのか分からない」となっていそうで怖い。

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