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episode12. 裁判で求めたかったこと

(※ 人物は仮名で、役職は当時のものです。)

裁判が始まってから宮崎県教育委員会、延岡市教育委員会に対して求めたいこともWordファイルにまとめ始めた。裁判に費やす長い時間を無駄に過ごしたくない。意味のある時間にするんだと自分に言い聞かせ続けた。

メディアで取り上げられる性被害や教育現場のニュースを参考に、自分の裁判でも教育委員会に対して求めたいことが時間と共に増えていく。

求めたいことが追加される度、私は一人で闘っているんじゃない、「どこかにいる私たち」も今、一緒に闘っていると感じていた。

私もここで頑張っているよ。
私も絶対に負けないから。
そんな思いを一日一日繋いでいった。

▼管理職が加害者のケースを想定したセクハラ対応フローの作成と周知
正職員、非常勤講師に関わらず、すべての教職員が心身ともに健康で人権に配慮された職場環境を整備し、安心して仕事ができる体制や仕組みづくりに取り組んでほしい。

▼職員、管理職へのセクハラ研修とチェックの徹底
◆教職員向けの正しいセクハラ研修の実施
当事者の仕事上の立場、既婚・未婚、年齢、家族構成を前提としない「恋愛関係、男女のもつれ」など決めつけを無くす。専門家や体験者の講演会などの開催と職員の参加。

◆職務上知り得た電話番号など個人情報悪用の禁止
メールやメッセージなどでコンタクトを取ってくるセクハラメッセージの事例は多い。教育委員会内でのセクハラ研修でも取り上げてほしい。

◆チェック方法
私の勤務期間中はセクハラやコンプライアンスチェックは自己申告によるもので、半年に一度程度、A4紙にチェックを付けて終わる全く意味のない方法だったため、面談や匿名での報告など真剣に学校内でのセクハラを根絶させる意識をもって取り組めるものにしてほしい。

◆適性検査の実施
教職員として、管理職としての資質があるか適正検査を実施してほしい。



▼加害者側の目線だけではなく、被害者側の目線にも立った対応を
◆同じ職場の職員からの聴取
今回の訴訟の準備に当たり「A教頭が前任校と事件の起きた第一小学校でも女性職員へ度々二人での食事に誘っていたこと、保健室で女性職員にマッサージを行っていたこと」が分かった。これは被害を受けた私が調べることではなく、教育委員会が行うことではなかったのか。

◆検証する第三者委員会を設置するなどいじめ調査と同様な対策
ハラスメント調査ヒアリングに際し、「被害内容は職務上知り得たことに当たる守秘義務が発生するため口外しない」などのように誓約書のサインを求めるものは、口留めや脅しのようで、管理職に提出する方法だったため被害を報告しづらかったなどの他県で声が上がっている事例を考慮し、第三者委員会に委ねてヒアリングを実施してほしい。

事実確認の際、「意に反する」ことだったか「同意があったか、なかったか」確認できなかった、双方の主張が食い違い、証拠や目撃者もないため事実認定できず処分に至らなかった等、いずれも加害者側の目線だけに立ったものであり、そもそもなぜ被害者が明確に拒否しづらいのかというセクハラの本質に向き合わなかった。

A教頭を懲戒ではなく他校へ転勤させ、事実を知る第一小学校に勤務していた女性職員二人に僻地への異動を命じるなど、不祥事を早く沈静化させるためのような事後対応もまた加害者目線だけであり、公平に加害者・被害者双方の目線に立った対応がなかったこと、公正、かつ根本的に問題解決しようしなかったことで、セクハラ再発の懸念が残った。

▼処分に対する判断基準の明確化と公表
◆組織内の当事者である被害者、加害者へのヒアリング内容と行政判断の説明責任
市教委・県教委による聞き取りのあとに、確認できたこと、できなかったことの再確認、行政として処分の判断基準(「総合的に勘案した結果」や、「教育長と校長、また教育委員会それぞれの課長等々の中で話をする」、「相手の意に反することを認識した上で」等、曖昧なものでない基準)を明確化し、当事者であり、開示を求める被害の申告者に知らせてほしい。組織内での調査が難しいのであれば、学校内で起きたわいせつ行為や性暴力について検証する第三者委員会を設置するなどいじめ調査と同様な対策をとってほしい。



今、思いつくすべての権利や要望を、可能な限り主張したい。

できれば全部、宮崎県教育委員会、延岡市教育委員会に約束させたい。

そんな思いでまとめ続けた。

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