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【感想】読書感想文「虚構推理シリーズ」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0024

巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学院生の九郎が、この怪異に立ち向かう。その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!? 驚きたければこれを読め――本格ミステリ大賞受賞の傑作推理!

城平 京|講談社タイガ|講談社BOOK倶楽部
http://taiga.kodansha.co.jp/author/k-shirodaira.html

丁度アニメの2期も放映されている本作。
怪異が当たり前のように存在しているが、人間はそれに気づいていない。
人間の暮らしと怪異の暮らし、それらの調和を保つべく、怪異が起こした事件について、人間が納得できるように嘘の推理を組み上げなくてはならない。
その役目を背負った岩永琴子と、その彼氏である桜川九郎の二人で、虚構の推理を披露するというのが本作の大まかな概要だ。

アニメや漫画などにも展開されているが、私はやはり小説(講談社 タイガ)が好きだ。
特に短編集。
・「岩永琴子の純真」に収録の「雪女のジレンマ」
・「岩永琴子の出現」に収録の「電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを」
・「岩永琴子の密室」に収録の「怪談・血まみれパイロン」
この辺りがオススメだ。
人と怪異のやり取りが軽妙で面白い。

真実は怪異が起こしているという揺るがない事実があるからこそ、推理自体は突飛なものでも裏が取れていなくても、人間が納得できるならそれで良いという思い切りの良さも好きだ。
前回の「まほり」の感想でも書いた「異人殺しのフォークロア」が頭をよぎる。

現実世界では、人知を超えた事象に対して無理やりにでも納得できるように、という意図で生み出された怪異たち。
虚構推理の世界のように、現実世界でも実は怪異が存在していたら……なんて想像する楽しさをくれる作品でもある。

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