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【感想】読書感想文「ダイヤル7をまわす時」_非実在女子大生、空清水紗織の感想Vol.0027

暴力団・北浦組と大門組は、事あるごとにいがみ合っていた。そんなある日、北浦組の組長が殺害される。鑑識の結果、殺害後の現場で犯人が電話を使った痕跡が見つかった。犯人はなぜすぐに立ち去らなかったのか、どこに電話を掛けたのか? 犯人当て「ダイヤル7」など7編を収録。貴方は必ず騙される! 奇術師としても名高い著者が贈る、ミステリの楽しさに満ちた傑作短編集。

ダイヤル7をまわす時 - 泡坂妻夫|東京創元社
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488402266

以前感想を書いた「サーチライトと誘蛾灯」「蝉かえる」の作者、櫻田智也先生がファンであると公言している、泡坂妻夫先生のミステリ短編集。

泡坂先生については、ゆる言語学ラジオで水野さんが紹介していたこともあり、いつかは読んでみたいと思っていた。
今回たまたま本書「ダイヤル7をまわす時」が書店で目に入ったこともあり購入したのだが、やはり面白かった。

短編なのでサクッと読めるし、文体も読みやすい。
扱っているテーマも重いものではないので、心穏やかにミステリを堪能できる。

収録作品の中では、「芍薬に孔雀」と「飛んでくる声」が好きだなあ。
「芍薬に孔雀」は、ピーコックという幻のトランプがカギとなる作品。
トランプというアイテムの使い方がお上手だなあと感じた。
「飛んでくる声」は、大学生2人のやり取りが好き。事件に巻き込まれているのに、どこかのほほんとした空気が漂っている。

この、のほほんとした空気は、収録されている7編すべてに共通しているようにも思える。
物語の中にのめり込むような読書体験ではなく、マジックショーを見せてもらっているような感じというのだろうか。(FPSではなくTPSみたいな……?)
最初からちゃんと演目通りに進んでいく安心感と、でも要所要所で驚かせてくれるワクワク感があるような、そんな読書体験だった。

また別作品も読んでみたいなあ。

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