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そんなに嘆くのではない

2024/08/31
引き続き若紫(ムラサキ)を読む。どうしても、何度読んでも、幼き紫の上に対する光源氏の行動は受け入れ難い。気持ち悪いと思ってしまう。ウェイリー版の訳文が読みやすいからこそ、古典として気持ちの距離を置きにくいのも際立っているのかも。

恐れおののく少女。何をされるのかわからず、ひどく震えています。ゲンジが自分を抱き寄せたときの、柔らかく冷たい肌の感触にも、鳥肌が立ちました。

A.ウェイリー版 源氏物語 ムラサキ

読んでるこちらも鳥肌ですよ。ともあれ、1000年を超えて読み手に肉迫する文章と思うとそれはそれですごいこと。

「もう泣くんじゃないよ、人が死ぬのはどうしようもないのだから。しっかり耐えねばね。…(略)」

A.ウェイリー版 源氏物語 ムラサキ

同じようなことを言われて私はブチ切れそうになったことがある。落ち込んでいるときに、人はいつか死ぬものだって言われて、そんなことはわかっていると、わかっていても辛いのに、なぜ今、正論をぶつけるのかと。

私は根に持つタイプだ。小学生のとき、集合写真の中で笑う私を指さして、アンパンマンと笑ったやつのこと。座高が高い私のことを短足だと貶したやつのこと。「あなたが受験したから私は落ちたんだ」と憎しみをもって言い放ったやつのこと。エトセトラ。流石にずいぶん昔のことなので、今となっては知るかボケって鼻で笑ってやれるのだけど、当時はしっかり傷ついた。ずっと覚えていて、それはつまりずっと許していないのかも。

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